いくつかの問題を抱えていた既存駐車場ビジネス

バブル経済崩壊後、都市部では遊休地が増えた。遊休地になってしまうのは、土地を入手しても不動産オーナーがその利用方法を決めかねている場合や、土地を購入しても建物を建てる予算がすぐには捻出できないケースなど事情は様々だ。不動産は所有しているだけで固定資産税がかかり、活用していなければ出費が伴う。

新たな課金方法を考案して駐車場を巨大ビジネスに成長させた。

その一方、都市部では慢性的に駐車場が不足しており、国内ではおよそ2400万台分の駐車場が必要とされるが、現状では700万台程度しか供給できていないといわれる。需要があるからといって土地を購入し駐車場を始めても、購入した土地の借り入れ返済額が大きいと駐車場ビジネスでは収益が出ない。逆に土地が安いエリアでは、駐車場の需要がないという矛盾する問題があった。さらに過去の駐車場ビジネスは月ぎめ契約や1時間単位の時間貸しが中心で、時間貸しの管理運営は有人のため営業時間に制約があった。

土地の利用方法を決めかねているが、固定資産税による出費は減らしたいと考える不動産オーナーのニーズを踏まえ、土地を購入せずに収益が上がる駐車場ビジネスを展開しようと考え、新たな課金方法を考案して巨大ビジネスに成長させた企業がある。パーク24株式会社だ

駐車場関連機器の製造、設計施工・販売を東京都品川区西五反田で行う資本金100万円の株式会社ニシカワ商会が、駐車場の保守および運営管理部門を分離独立させ、資本金1000万円で1985年設立したのがパーク24の始まりだ。

同社の2015年の連結決算による売上高は1796億9800万円、経常利益は185億8900万円、総資産経常利益率が13.24%、駐車場の数は全国で1万4979件(2015年7月末時点)に上る。

従来の駐車場ビジネスは不動産オーナーと運営会社が共同経営する方式が多かったが、パーク24は遊休地を持つ不動産オーナーから土地を借り、定額の賃貸料を支払う仕組みに変えた。共同経営と比べて収入は低くなるが、契約者を見つける手間や、借り手が埋まらないといったリスクがないのが不動産オーナーのメリットだ。