「驚くまで驚かせる、喜ぶまで喜ばせる」

これを私は「お客様の反応マーケティング」と言っています。基本は「お客様を驚くまで驚かせる」「喜ぶまで喜ばせる」ということ。そのために必要なことは「ロジカル」ではなく「エモーショナル」です。「この店では損をしないな」という安心感をもってもらったうえで、驚きのある商品を揃えれば、お客様の財布の紐も緩むでしょう。表現を変えれば、お客様の緊張をいかに解くかが重要です。

(左)東京・目黒にある「ドン・キホーテ中目黒本店」の看板。(右)店内の様子。

その意味で、いまお客様が最もリラックスをして買い物ができる場所は「スマホ」の中ではないでしょうか。総務省の調査によると、2015年末時点で、スマートフォンの普及率がはじめて50%を超えました。この数年のEC市場の急拡大は、スマホの普及に後押しされたものでしょう。

スマホの普及を横目に見つつ、私たちは慎重な姿勢を取ってきました。なぜならECは儲かりづらいからです。

実店舗であれば、お客様が来店して、商品を選び、レジで精算し、ご自分で持ち帰ります。一方、ECでは来店のための広告宣伝、サイトの構築費、商品のピッキング作業、配送費用、決済手数料などが新たに発生します。これらは「販売管理費」に計上されますが、ECでは売上に対する販売管理費の比率は3割程度だといわれます。

しかも実店舗であれば、損益分岐点を超えてしまえば、利益は拡大する一方ですが、ECでは売上が伸びれば伸びるほど販売管理費も高まります。商品を売るだけのECでは、極めて儲かりづらい構造になっています。