ケガや病気で働けなくなることがある。その際、公的保障はあるのか? いくら出るのか? 就業不能保険に本当に入るべき人とは?

「長期間働けなくなる」状態は、急にやってくる

もしも病気やケガをして長期間働けなくなり、収入が減少したら……。

そんなときでも、余計な心配をせずに治療に専念したいですよね。収入が減少しても、子供の教育費や、住宅ローンは急には減らすことは難しいものです。もちろん、衣食住の生活費も治療費もかかります。

休業中の生活費をどう確保するか。現在、健康であるからこそ考えておくべきでしょう(働けなくなってからでは手遅れなのです)。

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▼ステップ1:公的な保障はどのくらい出るのか?

まずは、病気やケガで働けなくなったとき、公的な保障がどの程度出るか確認しておきましょう。この保障額や支給期間を知ったうえで、足りない分を民間の保険で補うことが基本的な考え方です。

【会社員の場合】

会社員が業務外の病気やケガで休業する場合、健康保険から「傷病手当金」が給付されます。支給額は、休業前の収入の3分の2程度。もらえる期間は最長で1年6カ月です。

病気やケガの原因が業務災害や通勤災害だった場合は、労災保険から「休業補償給付」が給付されます(通勤災害の場合は「休業給付」)。

この業務災害は、残業を含む勤務時間内の仕事上の行為や仕事場の施設・設備の管理状況が原因となったものなどを指します。ケガだけでなく、業務との因果関係が認められる病気も対象となります。支給額は休業前の収入の8割程度。もらえる期間に制限はなく、働けない状態が続けばずっと支給されます。

ただし、1年半の時点でも病気やケガが治らない場合は「傷病補償年金」に移行します。障害が残った場合は、「障害補償給付」が支給されます。傷病補償年金と障害補償年金のいずれかになります。

また公的年金からは、要件を満たせば「障害年金」が受け取れます。障害年金は、初診日(障害の原因となった病気・ケガで初めて医師の診療を受けた日)から1年6カ月経過した後、障害等級1級・2級・3級に該当すると認定された場合に支給されます。

傷病名は問われず、精神の障害も対象です(障害等級1級とは、両上肢もしくは両下肢の機能に著しい障害を有するものなどが該当)。

例えば(平成28年度)

●平均年収450万円で配偶者と子どもが1人いる会社員の場合……
1級 221万1625円(月額約18万4000円)
2級 185万9100円(月額約15万5000円)
3級 63万円(月額約5万3000円)

支給期間は、障害が続く限り支給されます。※障害年金と傷病補償年金の両方を受け取る場合は、文末に記します。