「仕事にやる気が出ない」「もっと頑張らなくては」──。こんな悩みを抱えている人は多いのでは。いま大ブームのアドラー心理学は、無理に頑張らなくても、自分のやる気を引き出せる方法を教えている。やる気をなくしてしまった7つの症状別に「やる気が湧く行動習慣」を紹介していく。

やる気が出ないとは、勇気がくじかれた状態

「この頃どうもやる気が出ない。もっと頑張らなくては――」。こんなふうに感じる人は多いのでは。しかし大前提として、元々やる気のない人などいない。本当は十分にやる気があったにもかかわらず、何らかの阻害要因が働き、一時的にやる気のもとが枯れてしまっているだけなのだ。いわば「心のガソリン」が切れてしまっている状態だといえる。

さらに、ガス欠を起こしているときにいくら頑張ったところで、やる気が生まれることはない。むしろ逆効果である。やる気がみなぎっていると次々といい仕事を手がけられるし、周りからの評価も高くなる。何より自分自身、無気力な毎日を送るより、やる気全開で仕事に取り組めるほうが気分も爽快だろう。

やる気をなくして困っている人が無理に頑張らずに、本来のやる気を引き出すための処方箋を届けたい。

人はどうしたらやる気が出るのか。その答えを探るための大きなヒントになるのが、「勇気づけの心理学」といわれるアドラー心理学だ。アドラーがいう「勇気」とは困難を克服する活力といい換えられる。これはまさに「やる気」のこと。「やる気が出ない」というのは、アドラー流にいえば、勇気がくじかれた状態だ。

アドラー心理学を使った研修やカウンセリングで定評のある岩井俊憲氏によれば、勇気がくじかれて、やる気を損なう要因は大きく3つある。

1つ目は目標が見えていない場合。

「やる気を出せ」といわれても、どこに向かっているのかわからなければ、人はやる気の出しようがない。

2つ目は目標が高すぎる場合だ。高い目標に向かって突き進むのは、一見すると正しい姿勢に思えるだろう。子供の頃から学校で競争させられてきたビジネスパーソンとしては、「一体どこが問題なのか」と疑問に思うかもしれない。しかし、アドラー心理学では、高すぎる目標はやる気を損なう要因として要注意とされている。挑戦する前から「こんなのムリだ」「絶対に達成できない」と諦めてしまう可能性があるからだ。

もし、上司から高すぎる目標を課せられた場合はどうするか。そんなときは、真に受けて未達に終わり、挫折感を味わうのではなく、自分で納得できる目標に置き換えてしまえばいい。いわば、目標を「値引き」するのだ。実は上司も半ばムチャだとわかっていながら、高い目標を掲げないといけないと思い込んでいるケースも多い。

3つ目の要因は自己イメージが極端に低いこと。目標と現実にギャップがあるのは当然で、そのギャップから生まれる劣等感も、正しく扱えば問題ない。むしろ有効な動機づけとなるだろう。ただし、あまりに劣等感が大きく劣等コンプレックスになっていると、やる気が損なわれてしまう。「どうせ自分なんて」が口癖になっている人は要注意だ。

▼やる気を損なう3つの要因

1. 目標が見えていない
やる気を出したくても、どこに向かっているかがわからなければ、やる気は出ない。

2. 目標が高すぎる
挑戦する前から「こんなのムリだ」「絶対に達成できない」と諦めてしまう。

3. 自己イメージが極端に低い
あまりに劣等感が大きい場合、やる気が最初から損なわれてしまっている。