それでは、衆院解散はいつになるのか。永田町では2つの予測が飛び交う。野党が警戒心をあらわにするのは「4月選挙説」だ。これは政府・与党が1月末からの通常国会で第3次補正予算を急いで成立させた後、17年度予算案の審議をスムーズに運び、衆院で可決した後に解散準備を整えるスケジュールを意味する。憲法の規定で予算は衆院可決後、30日で自然成立するため、「3月解散─4月選挙」「4月解散─5月選挙」は理論的に可能となる。

ただし、17年夏には連立与党の公明党が重視する都議選を迎える。この選挙態勢を整えるため、公明党は「前後3カ月はほかの選挙をやりたくない」(自民党中堅)とされており、「4月選挙」「5月選挙」は難しいとの見方も残る。それならば都議選の終了後に時間をおいて解散するのはどうか。政治アナリストや有識者からは17年秋以降の衆院解散を予想する声が目立つ。しかし、実は重要な「行事」があるため秋以降の解散・総選挙も困難といわれているのだ。

2018年、池田大作創価学会名誉会長は生誕90周年を迎える。(時事通信フォト=写真)

その「行事」とは公明党がもっとも大事にしていること。18年1月2日は、公明党最大の支援組織・創価学会のトップ、池田大作氏が生誕90周年を迎える日だ。このため、「創価学会は選挙どころではなく、名誉会長の生誕をお祝いする準備を進めなければならない。官邸もこのスケジュールは頭に入れている」(自民党幹部)。仮に、都議選の3カ月後に解散権を行使すれば、「11月選挙」となるが、それでは池田氏の「生誕祭」準備にかかわってくる可能性があるのだ。

この「特殊事情」を重視すれば、首相の解散権は17年中は事実上封じられることになる。首相側近の一人は「選挙はあるぞ、あるぞ、と言い続けなければ与党内を引き締め、野党を牽制することができないが、17年はそう言ってはいられないかもしれない」と明かす。小池新党の準備が整っていく中、有利なタイミングでの解散が難しい政府・与党。次期衆院選は「第3極」が躍進する可能性があると警戒する自民党議員は多い。

(時事通信フォト=写真)
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