「短い時間だと、何を話せばいいか迷っているうちに自分の時間が終わってしまう」(33歳・メーカー)、「パーティが苦手。結局、名刺交換しているだけな気がする」(40歳・飲食店経営)など、きちんとセッティングされたわけではない突発的な場での自己アピールに対し、不安を覚える人は多い。各界のコミュニケーションの猛者たちは、どのように対処しているのか。

【アンケート概要】リサーチプラスにて20~50代のビジネスマン300人にアンケートを実施。2016年3月11~15日。

笑顔は必要最低条件。握手で効果アップ

ソニー生命保険のライフプランナー(営業社員)である五十嵐冬樹氏は、自身の経験から次のように語る。

「まずはとびきりの笑顔を用意すること。そして、身だしなみを整えること。これは『とっつきにくい』『生理的に受け付けない』と思われずに話を聞いてもらうための必要最低条件です。それから『間』をつくること。これは、セミナーなど大勢の前で話す際にも使えるテクニックですが、焦って話すより、無言の時間をほんの数秒でも空けたほうが、相手が『聞く』態勢になるのです。そして最後は、少しプライベートな話をすること。たとえば私は最近歌を習っているのですが、そう聞くと私という人間に対して興味がわいてきませんか?

突飛なことを言う必要はありませんが、自分を印象づけたいなら、相手の心にちょっとした『フック』を残すことが大事です」「アピール」と考えると、あれもこれもと話したくなってしまうが、それよりもまずは身だしなみ。そして聞かせる空気をつくることが重要なのだ。

いっぽう、営業支援会社で代表を務める嶋基裕氏は、初対面の相手と話す機会も多い。そこで痛感しているのが「事前準備」の重要性だという。

「短い時間しかない場合は、『事前準備が9割』と言っても過言ではありません。何を話せば相手に一番響くのか、相手にも気分よく話してもらうためにはどんな話題を選ぶべきか。営業のプロでも、咄嗟の機転に頼るのはあまりに無謀。今はSNSなどがあるので、有名人でなくても個人情報を得るのは簡単です。出身地、趣味、交友関係などは、雑談の材料としては最適。商談の際はもちろん、交流会などに参加する際も必ずチェックしていきましょう」

丸腰で挑んでは、相手が喜ぶ話題を提供することは難しい。できる対策はすべて講じたうえでその場に挑むのが、プロのビジネスマンなのだ。

弁護士として活躍する佐藤大和氏は、さらにもう一ランク上のテクニックを教えてくれた。

「あれもこれもと欲張ると、結局何も記憶に残らないという残念な事態を招きます。そこで、日頃から自分の具体的な『売り』を一つ用意しておくこと。たとえば私なら、『エンターテインメント分野の問題に強い法律事務所の代表弁護士です』と伝えます。可能なら、名刺に得意分野や資格を書いておくと親切でしょう。もしくは、会話の中で相手との共通項を探すこと。出身地が同じだと言われれば、それだけで記憶に残るものです。そして必ず握手をすること。日本ではあまり握手を求める人がいないので、自分を強く印象づけたいときにおすすめです」

・一つだけアピールする【
・いくつもアピールする【×
ソニー生命保険 トップセールス 五十嵐冬樹
東京中央ライフプランナーセンター第四支社エグゼクティブ ライフプランナー。ファイナンシャルプランナー、相続マイスターなどの資格も持つ。
 
アイランド・ブレイン代表取締役社長 嶋 基裕
「世界で一番頼りになる営業支援会社」を目指し、55業種・1200社以上の営業・販路開拓をサポートする営業支援事業を行う。商談実績は4万件近く。
 
レイ法律事務所 代表弁護士 佐藤大和
芸能トラブル・企業法務など幅広くカバー。人気ドラマの法律監修・出演なども行う。著書、『ずるい暗記術』『二階堂弁護士は今日も仕事がない』。