「都議会自民党」が透明化に反対する理由

今年は都知事としてはじめての予算編成も行います。まず、長年の慣例となっていた議会用にとっておく200億円の「復活予算枠」を廃止しました。議会政党への「予算枠」は全国でも東京都だけでした。廃止をめぐり、都議会での抵抗もありましたが、「東京大改革」の一環として、意思決定のプロセスを明確にしました。

予算編成では、補助金や委託料など計1億円以上の予算を計上する各種団体60などからの「公開ヒアリング」を行いました。直接、私が各種団体からの要望をうかがい、予算に反映させることにしました。都内約1万7000にのぼる団体のすべてから要望をうかがうことはできませんが、限られた時間ながら、それだけ最重要の話を聞くことができました。また公開ヒアリングとすることで、予算編成の過程においても「見える化」が進むことになります。

私が「見える化」を進めるのは、自分たちの税金が何に使われているのか、一人でも多くの都民の皆様に知ってもらいたいからです。民間企業では、株主総会のインターネット中継がすでに当たり前となっています。同じように都政においても、できるかぎり公開で物事を進めたいと考えています。これらは、やろうと思えば、できることなのです。

「できない理由」ばかりにとらわれてしまえば、改革は始められません。そこであきらめるのではなく、「希望」を持って、できることからやる。そう考えて積極的に対応すれば結果は変わります。

仕事の進め方が「前例踏襲」にはなっていないでしょうか。組織のなかにいれば、仕事は上から振られるものです。だからといって、当事者意識を欠いてはいけません。「自分事」と捉え直すことができれば、大胆に発想を転換できるはずです。できない理由より、できる理由を探す。その方針で、一緒に2017年を「希望」の年としてまいりましょう。

小池百合子(こいけ・ゆりこ)
1952年生まれ。カイロ大学文学部社会学科卒業。テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』などでキャスターとして活躍。92年政界に転身し、環境大臣、防衛大臣などを歴任。2016年、東京都知事に就任。
(構成=藤井あきら 撮影=原 貴彦 写真=時事通信フォト)
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