頭で考えず、快不快に身をゆだねてみよう

――最後に、これを読んでいる若い女性に何かアドバイスをお願いします。

【河崎】「子どもを産まねばならない」っていうのは、私はもうないと思っています。「結婚せねばならない」っていうのも、もうない。未来についてはいろんな学説があって、阪大の石黒浩先生は「1000年後には人間は有機体ではなくなる」とおっしゃっているし、東大の惑星科学者、松井孝典先生は「100年したら人口爆発で人類は滅亡する」とおっしゃっていたりする。楽観的な予測も悲観的な予測もありますけど、仮に後者の通りになったら、あと100年でカタストロフィーが来るわけですよね。

その世の中に子どもを生み出すことが、果たして人類にとって、私たちや私たちの子どもにとって幸せなのか。それはもう、好きか嫌いかの話でしかない。子どもを産むことを幸せと考えるかどうか、それだけの話です。国の繁栄のために産むとか、産めよ増やせよとかそういう話じゃないですよ。周りに言われたからじゃなくて、あなたが決めること。さらに言えば自分たちの頭で物を考えている場合じゃなくて、そろそろ快不快に身を任せてみてもいいんじゃない? って。

――頭であれこれ考えすぎるなと。

【河崎】「『この男が好きだ、産みたい』と思う人がいたら、そのタイミングで結婚しちゃいなよ、その感情ほど強いものはないから」って。その感情さえあったら、どんな状況だっていくらでもぶち壊せるんですよ。「女は子宮で考える」ってバカにされてきたけれど、「いやいやいや、子宮は考えるよ」って私は思いますよ。むしろ子宮で考えてごらん? って思う。

【川崎】その声が聞けなくなっている人が多いのかも。情報が多すぎるからそうなってしまったのかどうなのかはわかりませんが。我々40代だけ見ても、みんなそれぞれ違う。今日の3人だってこれだけ多様。私たちの世代は上の世代を見て「ああいう風にはなれない」とか「なりたくない」っていう逆説で動いた部分があったけれど、私たちの世代やもう少し上の世代が多様化し過ぎた結果、若い世代の女性たちが迷っているのかもしれない。あとは彼女たちから見て、私たちやその上の世代が幸せそうに見えないのかなっていうことでもあるのかもしれません。

――男性の人生が比較的一本道なのに比べると、女性の人生は分かれ道がいろいろありますよね。どの道を選ぶかでその後の人生が大きく変わってくる。でも、「100%幸せ」っていうことはないじゃないですか。結婚しない人生、子どもを産まない人生、子どもがたくさんいる人生……どれを選んでも大体7~8割くらいの幸せを味わえるようになっていると私は思っています。でもそこで「○○がないから悔しい」って、自分が味わえない残りの2~3割の幸せを求めて後ろ向きになってしまうのは、すごくもったいない。

【川崎】自分が持っていない物にフォーカスしてしまう。その欲深さを持ってもっと自覚して、表に出しちゃっていいと思うんですよ。表に出すっていうのは、「金持ちと結婚したい」「イケメンと結婚したい」とか言うことじゃなくて、自分が自分の欲深さにフタをしている状況だと気付くこと。気付かないと、環さんが仰ったような快不快すらわからない状態になる。私はどういう人が好きなんだっけ? 結婚したいんだっけ? 産みたいんだっけ? っていう状態で、ずっと立ち止まってぐるぐる回ってしまう。

何がもったいないって、一番大事なのは時間で、それは有限。過ぎてみてわかるアラサーの輝きよ、みたいなのってあるじゃないですか。自分自身の感情や欲望にフタをしないで開放してみたら、実は自分はもっと面白い人間なのかもしれない。もっと自分のことを信用できて前を見て獲得できるかもしれない。アラサーの頃って一番いろんな欲望が出てくる時期なので、ちゃんと優先順位をつけて欲望にフォーカスしてほしい。

【河崎】確かに、いろんな種類の欲望を持つことができる時代で、なおかつ実現するだけの手段も用意されている。とりあえず自分の欲望を見つめて、自分は欲深い人間なんだって受け入れてほしいですね。みんな真面目すぎるから、男も女も。(終)

川崎貴子(かわさきたかこ)
1972年生まれ。埼玉県出身。1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社・株式会社ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活躍コンサルティング事業を展開。2014年から株式会社ninoya取締役を兼任。ブログ「酒と泪と女と女」を執筆、婚活結社「魔女のサバト」を主宰。11歳と4歳の娘を持つ。 著書に『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(ベストセラーズ)、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)など。
河崎環(かわさきたまき)
1973年京都生まれ、神奈川県育ち。桜蔭学園中高から転勤で大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどで執筆・出演多数。多岐にわたる分野での記事・コラム執筆をつづけている。子どもは、20歳の長女、11歳の長男の2人。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)。