私たちの友人の例を紹介しましょう。その友人は12年ほど前に、小さなコンサルタント会社の役員になりました。以来、会社は順調にやってきましたが、同社の3人のパートナーは、何事もあいまいにするやりかたを頑として変えない。彼らが会社の方向性についてどのように考えているのか、また、各人をどのように評価しているのか社員にはまったくわかりません。その結果、社内には不安がつきまとい、戦略や資源配分についての混乱が起きているといいます。

しかし、私たちの友人はこの会社をやめるつもりはない。給料はよく、通勤時間も短く、仕事はそこそこ面白く、同僚とも仲がいいからです。

たしかにリーダーが率直に語らないことは彼を苛立たせることもありますし、それが会社の成長をかなり妨げてきたのは間違いないと彼は思っています。でも、彼は「仕事の質をすばらしい生活の質と引き換えにしたんだ。悪くない取引だと思っているよ」と割り切っている。

あなたの場合も会社にとどまって自分の状況と折り合いをつけることもできるでしょう。あるいは、もう限界だというのであれば、新しい仕事を探すのもありでしょう。これら2つの選択肢の中間にはまりこんでしまうと、ぐずぐず居残って陰で不平を言うことになります。

被害者意識を持って鬱々と過ごす道を選ぶのは最悪です。独りよがりな被害者意識を持つ人たちは、自分を敗れた英雄とみなします。彼らの上司は、彼らをわずらわしい愚か者とみなします。どうかそんなふうにはならないでほしいものです。

(回答者ジャック&スージー・ウェルチ 翻訳=ディプロマット (c)2006. Jack and Suzy Welch. Distributed by New York Times Syndicate.)