日比谷53人!「名門復活」の理由

16年も合格者数上位は中高一貫校が強かった。これで23年連続、トップ10は中高一貫校が占めた。一方、公立高トップは11位の日比谷だ。合格者は16人増えて53人になり、1972年の52人以来、44年ぶりの50人超となった。まさに名門復活だ。

日比谷の躍進はこれまでの教育改革の成果もあるが、それに加えて大きな要因として不況があげられる。今年の高校卒業生は、2010年に中学校に進学している。08年秋にリーマンショックが起こり、不況になった。09年には影響は出なかったが、10年には、私立中受験者がもっとも減少する事態につながった。不況による経済的な問題、先行きの不安から中学受験者が減ったのだ。そのため、優秀な生徒が公立中、高に進むことにつながった。中学受験熱が高い東京では、結果として多くの優秀な生徒が都立高に進学し、日比谷の躍進につながったと考えられる。

それだけではない。制度改革も大きく影響している。東京の高校改革は21世紀に入って本格化。進学指導重点校を定め、大学進学に力を入れたのだ。01年に進学指導重点校に日比谷、西、戸山、八王子東の4校が指定され、03年に青山、国立、立川の3校も指定された。03年には学区を撤廃し、希望する都立高をどこでも受けられるように変えた。

進学指導重点校となって初めての入学者が卒業したのは05年だ。日比谷は進学指導重点校になる前の04年の東大合格者は3人だったが、それが翌05年には14人に激増している。

今では公立一貫校も新設され、実績を出していることもあって、16年の都立校全体からの東大合格者数は175人を数える。制度改革が始まる前の04年は56人だったから、3倍以上に伸びている。都立高の巻き返しが始まっている。

一方、私立中高一貫校が躍進したのが埼玉だ。27位の栄東は過去最高の27人が合格。長らく埼玉では、浦和(県立)がトップだった。それが16年は22人、31位にとどまり、栄東が初めてのトップとなった。これで首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)では、私立中高一貫校が東京大合格者トップを独占することになった。

ここ3年、東京大に二桁合格者を送り出している学校は77校で安定している。合格者総数は増えないから、どこかの学校が躍進すれば、どこかが減ることになる。2017年に躍進する学校はどこか。注目が集まるところだ。