すごく仲が良かった家族がどうして……

親が施設に入りたがらず説得に困っている。病院に行きたがらない。親の介護のやり方に兄弟で意見がかみ合わない。親の遺産の相続をめぐって親戚同士で諍いが絶えない――。そんな家族のトラブルは、どんな人にも起こる可能性がある。問題の根本にあるのは、家族間のコミュニケーション不全だ。家族・親戚の間でうまくコミュニケーションをとるにはどうしたらいいか、また普段話すことがなくなった家族と意思疎通を図るにはどうすればいいのか、悩んでいる人は多いことだろう。

今回は、そんな「家族との話し合い」を良好に進める方法について、介護・福祉系法律事務所「おかげさま」代表の外岡潤氏、福祉社会学を教える宇都宮大学准教授の中川敦氏という2人の専門家に聞いた。

(左)弁護士・ホームヘルパー2級 外岡 潤氏(右)宇都宮大学地域デザイン科学部准教授 中川 敦氏

外岡氏は、弁護士として活動しながら、ホームヘルパー2級の資格を取得。介護問題、相続についての法律の専門家であると同時に、介護・福祉施設の現場にも詳しい。

中川氏の主な研究テーマは「遠距離介護」。離れた場所に住む親を介護するなかで、会話の際の言葉遣い、やりとりの間、視線などが家族間の信頼関係にどう影響するかについて「会話分析」のアプローチから研究している。

次ページからは実際の家族に起こったコミュニケーショントラブルとそれに対する2人のアドバイスを公開する。