Step4:積極的に運用しよう

企業型、個人型を問わず、すでに加入している方でも、「商品の選び方や動かし方が分からない」とほったらかしの方、「損したくないので預貯金や保険商品を選択」という方も多いのでは。深野先生に具体的な運用方法を教えてもらいました。ぜひ参考にしてください。

▼Check 06:安全な預貯金商品でいい?

預貯金商品を選びがちですが、2~2.5%の運用益がないと、かつての企業年金と同じくらいの収益になりません。投資信託を国内、海外で50%ずつとか、株と債券を国内・海外で25%ずつ持つなど、分散投資しながらリターンを求めましょう。仮にあなたがいま30歳なら、掛金の拠出期間は30年ある。株は下がり続けるだけということはありません。

▼Check 07:商品の見直し時期は?

1年に1回程度で十分です。定年までに景気の上がり下がりは何度もありますから、一喜一憂するのは無駄。今年1月の世界同時株安で焦って預金に預け替えた、なんていうのが最もダメなやり方。基本は耐えるか、上がっているときに一部利益確定し、下がっているものに買い替える。会社員は退職金もありますから、50代でもある程度は攻めの姿勢で。

▼Check 08:で、いつもらえるの?

原則として、企業型は加入者が定年で資格喪失年齢に達したら、また個人型は加入者が60歳になったら受け取れますが、ともに開始時期が10年未満の場合は、受け取り開始年が遅くなります。どちらも一時金としてまとめて受け取るか、年金として分割で受け取るかが選択できます。また、加入者が障害を負ったときや死亡時には一時金が支払われます。

▼Check 09:ずばり、お薦め商品は?

「JPX日経インデックス400」があるならこれ。日経平均株価やTOPIXは退場ルールがなく、業績が悪くなった企業も含まれます。対してこちらは赤字を出していたら入れないなど、ふるいにかけた企業400銘柄。下位30社は入れ替えもある。海外は、「MSCI-KOKUSAI INDEX」が欧米をはじめとした先進国の上場企業で構成される王道商品です。

▼Check 10:マッチング拠出って?

企業型確定拠出年金に、個人で金額を上乗せして運用できる制度で、勤め先企業が導入していれば利用できます。掛金の上限金額までを、企業の拠出額に加えて個人で拠出することができ、拠出額は全額所得控除が利用できます。自分の掛金の上限が2万7500円のとき、企業の拠出額が1万5000円なら、残り1万2500円までを自分で出して運用できるのです。

▼Check 11:マッチング拠出の注意点

マッチング拠出では企業の拠出額以上を出すことができません。そのため、自分の掛金の上限が2万7500円でも、企業の拠出額が5000円なら、マッチング拠出ができる額も最大5000円です。マッチング拠出額は変更できるので、現在の資産に余裕があるならプラスしておいて、今後のライフイベントでお金がかかる時期は減らす、などでも良いでしょう。

深野康彦
ファイナンシャルプランナー。1989年に独立系FP会社に入社、96年に独立。ファイナンシャルリサーチは2社目の起業。情報サイト「オールアバウト」をはじめ、多くのメディアで活躍中。ムック『いっきにわかる!金持ち老後のつくりかた』、単行本『ジュニアNISA入門』など著書多数。

干川美奈子=構成