英語に対して自信を手に入れることが重要

【三宅】横山さんは、同時通訳者だけでなく、予備校の講師でもあり、大手企業でも英語研修を受け持っていますね。しかも、とても人気があるとうかがいました。そこで、聞きたいのですが「これが横山カズ流だ」という英語学習の極意は何ですか。

【横山】極意なんていわれると困ってしまいますが、僕自身、高校3年の半ばまで英語は苦手でした。今、予備校では基礎をしっかりと学ぶクラスを教えることが多いんですね。その際、一番に気をつけているのが、生徒が英語の習得を通して自信を手に入れることです。どうするかというと、例えば、授業の前と後で自分の英語の発音や聞き取り、そしてスピードがどう変化しているか体感してもらうことにしています。

【三宅】体感ですか。

【横山】授業でいきなり「音読してください」と言って、彼らの声を録音します。それを、その場で再生すると、「わー、へたくそ。滅茶苦茶だ」となりますよね。それから1時間なり2時間、徹底的に音読を繰り返していくのです。

その間、一定の時間ごとに何回か録り直します。もしくは、最後に録音することもあります。そして、最初のものと聴き比べてもらうんです。すると、口も滑らかに動いているし、すんなりと耳に入ってきますよね。「ほら、君の英語すごいよ」と誉めてあげると、わずかな時間での上達がものすごい自信になるんです。

『対談! 日本の英語教育が変わる日』三宅義和著 プレジデント社

【三宅】ひとつのことを徹底的にやる効果ですね。生徒たちは、最初は下手だったということをすっかり忘れて、今度はできるのではないかと思うようになっているのでしょうね。

【横山】これはフィジカルな勉強法と言ってもいいですね。苦手意識がかすかな自信になって、1回体で覚えたら、2度と忘れません。そうしたら、その人は将来の勉強においても、その自信を必ず思い出してくれるんじゃないでしょうか。

それと授業では発音に際してカタカナと子音のアルファベットを組み合わせたり、太字を入れたり、名詞節はそこだけ色を変えるなどして、自然にイントネーションができあがる独自の工夫などもしてきました。そうすれば、どんなに長い文でも、どんなに単語の数が多くても読めるようになっていきます。

【三宅】横山さんの授業は楽しいでしょうね。今、話していても、とても面白いので、引き込まれます。

【横山】講師が楽しくやっていると、教えられる人たちも楽しいと思います。やはり語学の勉強は楽しいほうが続けられると思います。

(岡村繁雄=構成 澁谷高晴=撮影)
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