日本人男性の精子は減っていない?

「テレビの前では言いにくいが、一般に日本人男性の精子の数が、親世代の半分ぐらいになっているといわれている」

10月18日の国会で、日本維新の会の松浪健太議員が、塩崎恭久厚生労働相に見解を求めた。これに対して、塩崎大臣は「日本人の精子の濃度が下がっているということだが、日本では2001(平成13)~2003(平成15)年度にかけて男性の生殖機能に関する疫学調査研究をした。日本人の精子が減少している傾向は認められない、と指摘されている」と答弁した。

どうやら、松浪議員はTTP(環太平洋戦略的経済連携協定)で増加が見込まれている輸入食品の安全性ついての質問の“枕”として、この質問を行ったようだ。今や少子化の原因は食の安全にまで関連しているのか。

2015年国勢調査の結果によると、日本の総人口は1920年の調査開始以来、初めての減少となった。特に、昭和20年代には40%近かった15歳未満の人口割合は12.7%にまで低下、少子化の現状が浮き彫りになっている。

なぜ、少子化が進んでいるのか。その要因として、非正規雇用の増加などにより、若い世代の所得が伸び悩んでいることが挙げられる。若い世代が、低所得により結婚もままならず、子供の養育費を負担できない状況が少子化の要因として多く指摘されている。しかし、本当にそうなのだろうか。所得が低いことだけが、少子化の原因なのか。