法則(2)質問上手は、1聞いて10引き出す人

優秀なビジネスパーソンとは、「話がうまい人」「強い説得力を持つ人」というイメージを抱いていないでしょうか。しかし、大切なのは「うまく話す」ことではなく、相手が求めていること、つまり「ニーズ」をつかめるということ。

ニーズをつかむために欠かせないのが「聴く」力です。優秀なビジネスパーソンは、自分が話す以上に「相手にたくさん話させる」ことで、ニーズを的確につかみ、それに合った提案をすることができるのです。そうして信頼を獲得し、ビジネスをさらに広げるチャンスを手にしています。2人の女性のコミュニケーションスタイルを聞いてみると……。

◆甲斐貴子さんの場合

「お客さま宅を訪問した際、車、庭、室内のインテリア、相手の服装などに注目します。そこには、その人の価値観やこだわりが表れているからです。『よくお手入れされたお庭ですね』『きれいな色のカーテンですね』などと声をかければ、相手は笑顔になります。人は、自分が好きなこと、こだわっていることに注目してもらえるとうれしいもの。『私のことをわかってくれそう』という期待を感じ、何重かある心のカギが一つ外れて、ご自分からいろいろと話してくださるようになります。その会話から相手の方の課題や価値観が見えてくると、それに合ったご提案ができるようになります」

◆長谷川尚子さんの場合

「私は管理職なのですが、新たに配属されたメンバーと面談する際には、家族構成、趣味、興味を持っていることなど、さまざまな角度からたずねます。会話の中で、相手の目がキラキラと輝く瞬間、前のめりになる瞬間を見逃しません。『この人は、これを話したいんだな』と察知すると、本人がその話をもっとできるよう、うなずきながら聴きます。相手が本音を言いづらそうだと感じたときは、『言っていいんだよ』と声をかけ、気持ちを開放してあげます。こうして、『この人には思ったことを素直に話していいんだ』と安心感を与えることで、仕事に関する突っ込んだ質問をしても、率直な思いを話してくれるようになります。通常なら1しか聞かせてもらえないような話を、5も10も引き出すことができるんです」

このように、相手が話しやすい、話したいという雰囲気をつくることで、コミュニケーションが活発化し、信頼関係構築につながるのです。

※本連載は書籍『人生でチャンスをつかむ女性の10の法則』(プルデンシャル生命 チーム「Make a Chance」著)からの抜粋です。

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