年が上がるにつれて周囲から期待される立ち居振る舞いは変わっていく。サラリーマン経験がある識者に、年代別の「理想の振る舞い方」を聞いた。

「30代の振る舞い方」
●教えてくれる人:作家 幸田真音さん

いまから振り返ると、30代って、私自身が一番キラキラ輝いていた時代だった気がします。20代の頃はまだ実力がなく、「何でこんなにダメなんだろう」と自己嫌悪に陥ってばかりでしたが、30代になると少しずつ経験や実績を積み、周囲も自分を認めてくれ、仕事も任されるようになります。特に30代半ばから後半は体力、知力、気力のバランスが取れて、一番充実している時期だと思うんです。

作家 幸田真音さん

そのぶん壁にぶつかったり、悩むことも多くなりますが、この時期はむしろ思いっ切りジタバタしたほうがいい。壁から逃げず、正面からぶつかって、悩んで、迷うことが大事なのです。もしも変に逃げようとしたり、うまく手を抜こうとしたら、その時点で成長がストップしてしまうからです。

私が30代の頃は、米国系銀行や証券会社で債券ディーラーや外債セールスをしていました。面白かったけど、ものすごく大変だった!

当時40代だった女性の先輩から、「心配ないわよ。40代になったら楽になるから!」といわれました。「何がどう楽になるんですか?」と聞いても、「そのときになればわかる」とはぐらかされたのですが、やはり40代になったとき、実感しました。

悩み、苦しみ、失敗したことは、自分の貴重な財産として蓄積できるようになります。逃げずに頑張った人にだけ、楽しい40代が待っているんです。そしてまた40代の悩みをきちんとクリアすると、もっと愉快な50代がきて、そこを乗り越えるとさらに楽しい60代になれるんです!

30代で大きな仕事を任されるようになり、しかるべき結果を出せたなら、それを正しくアピールすることもお忘れなく。私自身はアピール競争の激しい米国系の金融業界に身を置いていたので、自己アピールには苦労させられました。主張しないとそこにいないも同然と、存在を無視される世界でしたからね。日系企業であっても自己アピールは大事です。堂々と遠慮なくすればいい。ただし、やるべきことをきちんとやり遂げたうえでのこと。そして基本的な謙虚さと、周囲へのリスペクトを忘れてはいけません。

日本では謙遜が美徳ですが、有言実行は大切なこと。自分でしっかり目標を設定して、それに対して自分がどう努力しているのかはきちんと発信しながら、結果を出していきましょう。