白内障はどうやって治療するのか

検査によってもし白内障だと分かった場合、その治療は点眼薬で進行を止めるか、手術をするかのいずれかになります。白内障の手術とは、水晶体を人工のレンズに交換すること。手術自体は10~30分程度で終わりますが、人工のレンズは水晶体と違って厚みが変わらないので、完全な老眼状態となります。

白内障の手術の流れ(『その白内障手術、待った!』より引用)

「手術後は、遠くははっきり見えますがそれ以外は見にくいです。老眼状態なので、遠近両用メガネをかけていただくこととなります(5mなど遠くにピントを合わせた一般的な単焦点レンズの場合)。つまり手術+両用メガネです。手術後1カ月は度数が安定しないので、メガネを作るなら1カ月経ってからになります。先進医療の中には2焦点や3焦点というレンズもあり、そちらを選択される方もいます。ただ(単焦点のレンズに比べ)鮮明度が落ちるというデメリットがあります」

水晶体を人工レンズに交換することでふたたび綺麗な視界が手に入りますが、手術をしなくてすむならそのほうがいいと平松医師は語ります。手術に伴い、感染症などの危険が当然あるからです。

「不安で、できる限り手術を受けたくない人はぎりぎりまで待つのも手ですが、不自由を感じたり、目を使うことが多い人は、早めの治療をおすすめします。最近は日帰り手術がスタンダードですが、不安が強い場合や高齢で行き帰りが難しいときは入院を希望されてもかまいませんよ。でもまずは目薬がいいのか、手術がいいのか、自分の希望する治療方針をきちんと医師に伝えてください。また、普段飲んでいる薬や体の病気、特に目に関する怪我などはちゃんと伝えましょう」

医師と相談する際に1つ知っておきたいのは、医者と患者で言葉の意味に食い違いが生じやすい点。たとえば一口に視力といっても、医者と患者では意味が違うことが多いといいます。

「医者は視力というとメガネをかけた矯正視力のことを言いますが、一般では裸眼視力のことだと思っています。ここをハッキリさせておかないと、術後に医者は視力が回復したと言っても、患者さんは裸眼で元通りに見えていないので失敗したと勘違いすることがあります」