相手との違いに気づき、受容すること

【三宅】英語はあくまでも手段でしかなくて、英語を学んで英語を使って何をやるかという。これから英語の学びもおそらく英語を学ぶということから、できるだけ英語で学ぶという方向に変わっていくべきだと思います。英語で学ぶことは楽しいし、より英語力も伸びると言われています。

先日参加させていただいた心身統一合氣道会の合宿で素晴らしい体験をしました。私と同室の、ビジネスマン、広告代理店にお勤めの方、学生さん、全員英語が堪能でした。隣室にいた弁護士やチェコの方も加わって、お酒を飲みながら懇談したのですが、とても有意義なひとときでした。

【藤平】素晴らしい(笑)。

『対談! 日本の英語教育が変わる日』三宅義和著 プレジデント社

【三宅】最近は教育界、産業界でもグローバル人材育成ということがキーワードになっています。やや、言葉だけが一人歩きしている感もあるのですけれども、藤平先生のように世界と渡り合える指導者が増えるのはとても大切なことだと思います。そこで、先生が考えられるグローバル人材というのは、どのような人物像でしょうか。

【藤平】外国に出た際に心がけなければいけないのは、相手との違いに氣づき、それを受容することではないでしょうか。日本の中だけにいると、だいたい同じ価値観で生活していますが、海外に出ると、実に多種多様な考え方、捉え方、あるいは習慣があるわけです。それを認めることが一番大事なことだと考えています。

そうすると、初めて自分自身の持っているものの価値も理解できますし、逆にそこを放棄してしまうと、非常に偏った、ある一面でしかものをとらえられない人間ができてしまう。グローバルな人材というのは、そうではなく、広い視野で行動できる人材だというふうに考えています。

ある国に行って成功しようと思えば、その国の文化や歴史を勉強するのは当たり前のことでしょう。例えば、アメリカンフットボールでも「日本人は英語だけ学んでも戦術を理解することはできない」とある監督から聞いたことがあります。アメリカで生まれた競技ですから、文化やそれに基づいた考え方・捉え方まで理解する必要があるということですね。

【三宅】確かにベースボールも日本流に発達したことによって、メジャーの指導層も一目置く「サムライ野球」になりました。そして、いまや大リーグで活躍する日本人選手は両手で数えきれません。そのようなグローバル人材への飛躍を、私どもの役割としては、語学を通して支援していきたいと思っています。

【藤平】人間というのは、本当にすごい力を潜在的に持っています。大事なことは、それを存分に発揮できるかどうか。人生を生きていく中で、ぜひそういう訓練をしっかりしていってほしいと思います。もし「自分には、そんな力はない」なんて自信を失っているとしたら、力の発揮の仕方がうまくないのかもしれません。

そういったときにこそ、心身統一合氣道で教える「氣」というものが手助けになると信じています。私自身も以前は英語が話せないと思っていました。ところが正しい訓練方法を教えていただき、外国で生徒さんと接することによって使えるようになったのですから。

【三宅】本日はありがとうございます。

(岡村繁雄=構成 澁谷高晴=撮影)
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