日本企業を変える発想【3】――社内に眠るアイデアを活用する

実際は、若い社員でもすごく面白いことを考えている場合もあるわけです。だが、そのアイデアや意見はどこかで止まって、上層部の耳まで届かない。あるいは、そういう人材の存在、アイデアが眠っているということさえ知らないマネジメント層がたくさんいるのも事実です。

今の日本の中間管理職は、ある程度の権限を持つことができます。しかし、権限以外の社内に眠っているいいアイデアを集めきれていません。組織内でフラットに意見を言い合えないことの代償は大きいのです。

チーム内では活発なブレストが行われる。

だからといって日本企業の行く末を悲観することはありません。

アップルの最初のマウスをデザインしたときのことです。

当時、スティーブ・ジョブズは「そのマウスのデザインをくれないか」と言ってきました。

一方で、松下電器産業(現パナソニック)の担当者は我々のコンサルティングに対して「デザイン部門の予算ではなく、人事部の予算から費用を出す」と言いました。

つまり、アップルがモノに価値を見出したのに対し、松下電器産業はモノを生み出すためのアプローチや考え方そのものが自分たちの社員に必要だと言ったのです。

この話からもわかるとおり、日本人は学ぶのが好きです。そして社員を育成するというマインドを強く持っています。今後企業が成長するためには、どのようにして組織内のアイデアを吸い上げ、学びを実践していけるかにかかっています。