日本企業を変える発想【2】――失敗を「機会」と捉える

プロジェクトで成功できるかどうかは、どれだけの数の実験ができるかで決まります。掃除機で有名なダイソンの創業者、ジェームズ・ダイソンが成功したのは、実験を恐れていなかったからです。彼は、最初の掃除機を出す前に、5127個の試作品をつくりました。つまり、5127回失敗しているわけです。

ですからクライアントにも、「もっと実験をしてほしい」とお願いしています。失敗をもともと実験の一過程として捉えれば、その失敗は自ずと新しいチャレンジに紐付いていきます。科学的アプローチと同じで、「トライ・アンド・エラー」を繰り返していくことが大切なのです。

試作品の製作に取り掛かる様子。

IDEOでも、失敗したら罰するのではなく、行動を起こしたこと自体を評価するようにしています。今日、どの業界でも進化し続けることが必要です。コストが安い、もしくは魅力的な製品をつくる企業は次々に出現してくるものです。そういった状況下で生き残るためには、失敗に対する意識を組織的に変え、チャレンジできる仕組みづくりをしていかなければなりません。

日本では、ヒエラルキーが強い組織も多いと思います。意思決定などのためにそういった組織構成になっているのはいいことだと思います。しかし、そのためにいいアイデアが出てくることが妨げられることもあるように思います。