2016年12月9日(金)

名古屋っ子のソウルフード「鉄板イタリアン」って?

dancyu 2015年4月号

文・北尾トロ 撮影・小栗広樹

みんなが大好きなナポリタン。みんなが大好きな卵焼き。何と、この2つが合体した料理があった! しかも鉄板で熱されて、食べ終わるまでアツアツが続く。名古屋っ子のソウルフード、「イタリアン」の謎に迫ります。

食に関し、洗練とは逆の方向に突っ走る名古屋は力強く、独特だ。食文化を支えるには場が必要で、一つには“家庭”というものがある。家めしは土地柄だとか味つけの好みなどが凝縮され、どの地域でも味覚の屋台骨を支えている。もう一つが“外食”。名古屋ではここで喫茶店が幅を利かせ、小倉トーストなる独自メニューや、過剰なサービスで知られるモーニングセットを生んできた。

そしてさらに忘れてはならないのが、喫茶店の定番メニューとなっている鉄板イタリアンだ。知ったふうなことを書いているが、今回、僕は初めて食べたのだ。どうやらスパゲッティらしい。B級グルメみたいな感じかなという予備知識。といって、油断はしていなかった。名古屋には独自の進化を遂げた食べ物が幾つもあるからだ。手羽先など全国的に流行するものもあるが、多くは地元に根づいたローカルメニューだ。きしめんや味噌かつ、味噌煮込みうどんでさえそうである。

なぜなのか。とにかく味噌推しがすさまじいのだ。八丁味噌を混ぜたり、ソースにしたり煮込んだりしながら、ほかにはない濃厚さで地域を一つにまとめてきた尾張の伝統があるのかもしれない。だが、あの味噌は全国どこにでもあるものじゃないので、いまいち広まっていかないが。

あと、隙あらば合わせたがる傾向も窺える。味噌は当然のようにケーキだろうと何だろうと合わせるし、小倉トーストも合わせた結果、和洋折衷ならぬ名古屋味に進化したもの。ひつまぶしは一度の食事で3種類の食べ方を試みる合わせ技料理だ。

写真を見ると案の定、鉄板イタリアンも合わせている。どういうわけか鉄板に卵を敷き詰めているのだ。スパゲッティはナポリタン。赤と黄色、鉄板の黒で食欲をかき立てる名古屋トリコロールなのか。違うか。麺が焦げつくのを防ぎつつ熱も逃さない、W効果を狙ったのかもしれない。

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北尾 トロ