食品トレーを初めてカラー化した食品容器メーカー

スーパーマーケットや食料品店などで使われている食品のトレー容器は、中身の商品を痛めずに運ぶには不可欠な存在だが、使用後はすぐに捨てられる。そのため梱包材料や梱包容器を使用する企業にとってこうした商材はコストに過ぎず、少しでも安価に済ませたいという意向が強くなる。だが簡易食品容器の分野で、1962年の創業から一貫して成長を続け躍進している企業がある。(株)エフピコだ。

エフピコは精肉・鮮魚・寿司・総菜といった食品を保護し運搬する簡易食品容器のメーカーで、2016年3月期の売上高は1702億9200万円、経常利益は140億2700万円の企業だ。同社は容器形状を絶えず研究し、内容物の崩れや転倒、汁漏れなどを減らし、さらに中に入れる商品の見栄えが良くなる容器を開発し、取引先企業の売り上げ向上に取り組んできた。

国内で初めて色・柄をつけたカラーの食品トレーを製造販売。写真はエフピコHPより。

「食品トレーに色がつくとアイテム数が増えて手間も増し、リサイクルするためのリサイクルペレットに加工する際も白のままなら再利用が容易で大量生産できる」というメーカー側の都合で、食品トレーは白色しか選択肢がない時代がかつてあった。

この白色しかない食品トレーを初めてカラー化したのが同社だ。単に安価な商品を大量に販売する時代は終わり、食品のグレードによって販売価格と販売方法が変わることに対応した取り組みだ。安売りで利益が少ない肉には白色トレーを使っても、和牛など値段が張り高品質な商品には食欲をそそり、グレード感を感じるようにディスプレーしたいという小売業の潜在ニーズを、カラートレーによって開拓した。