「賃貸」の市場はすでに供給過剰状態

空き家の放置は、大きなリスクを抱えることになる。どのように対策すべきか。米山氏は「4つの選択肢がある」と話す。

「相続などを考えて空き家のままにするなら管理が必要です。遠方で自己管理ができない場合には、業者に『管理代行』を頼みましょう。月1回の見回りや換気などで月額3000円から1万円程度です。

2つ目は賃貸物件としての活用です。ただし立地や条件が整っていなければ借り手は見つかりません。住宅設備が古い場合には更新の必要があります。実は820万戸ある空き家のうち、52%は借り手のつかない賃貸住宅。供給過剰の状態です。

3つ目は解体して更地にするという選択。解体費用はかかりますが、防災や防犯上の責任は果たせ、管理は不要になります。

最後の選択肢が売却です。これから土地や住宅の価格が上がることは考えづらい。見積もりを頼むと、価格の安さに驚く人もいるそうですが、それが現実。早めに判断すべきです」

特に問題が深刻なのが地方都市だ。3大都市圏と政令市を除く県庁所在都市の人口は、1970年から2010年の40年間で約2割増えた。ところが2040年までに2割減り、1970年と同じ水準にまで落ち込むと予想されている。こうした地方都市の市街地はこの40年間で2倍に広がっている。

米山氏は「人口減の状況で、2倍に広がった市街地は維持できない。これから市街地の縮小が進むだろう。そのとき『指定区域』から外れた住宅の価値は著しく下がる」と話す。

「2014年8月、『コンパクトシティ』を促すため『改正都市再生特別措置法』が施行されました。これにより、地方自治体は居住を促す『居住誘導区域』、病院や商業施設などを集める『都市機能誘導区域』を設定できるようになった(図4)。売却に不安のある物件は、区域が設定される前に動いたほうが賢明です」

国は、区域を設定した「立地適正化計画」を、2020年までに150の自治体へ広げることを目指している。動くなら早いほうがよさそうだ。

富士通総研 上席主任研究員 米山秀隆(よねやま・ひでたか)

1989年筑波大学大学院修士課程経営・政策科学研究科修了。野村総合研究所、富士総合研究所を経て、現職。『空き家急増の真実』『少子高齢化時代の住宅市場』など著書多数。