外資系企業からやってきたコンサルタント系上司や合併先の上司、政府の「女性の活躍推進策」で下駄を履かされた女性上司……。もう何がきても怖くない、部下の心得と対策を伝授しよう。

【自称「中身は男」系上司】とはいえ女性。「結果よりプロセス重視」を心がけよ

女性をワーク・ライフ・バランスでタイプ別に分けると、(1)職場のリーダーを目指して思い切り頑張りたい「思い切りワーク派」、(2)ふつうに働いてそれなりの達成感を得たい「そこそこワーク派」、(3)仕事は定時で終えて私生活の充実を優先したい「できればライフ派」、(4)楽な仕事をして早く寿退職したい「思い切りライフ派」の4つが挙げられる。

女性で管理職になる人は(1)と(2)の人が多いだろう。そして最近になって増えているのが(1)だ。この「思い切りワーク派」タイプは、「○○さんは女性だから」みたいな言い方をして手伝おうとすると、「余計な配慮はしないで! 私はなんでもやりますから!」とキレかねない。

つまり、こちらとしては、補佐しているつもりで何気なく言った言葉が、仕事をうばわれると受け取られてしまうのだ。いわば「自称『中身は男』系」ともいえるこのようなタイプの上司は、私生活について尋ねるのもタブーと思ったほうがいい。

これが(2)「そこそこワーク派」であれば、そこまでキツい反応が返ってくることはない。「残業続きで大変じゃないですか? なにか手伝えることはありませんか?」という思いやりも素直に受け止めてくれるだろう。だから、上司のタイプが(1)か(2)かを見極めることは非常に重要だ。

また、たとえ「自称『中身は男』系」上司でも、女性ならではの特性があることは知っておきたい。男性上司の場合、何か仕事の報告をする際に「プロセスはいいから結果を言え」と言われることが多い。このため部下も端的に結論だけを言う習慣が身についてしまう。説明は、“弁解”のようにとらえられる節があるわけだ。女性管理職にとっても結果が重要であることにかわりはないが、じつは、プロセスを重視する傾向は男性上司よりはるかに強い。だから、その結果にいたる過程の説明を省いたり、説明に丁寧さがないとムッとされることがある。

逆に、結果がうまくいかなくてもプロセスを丁寧に説明すると「大変だったんだね。ご苦労さま」と好意的に受け取ってくれたりするのだ。共感力は、一般に男性より女性のほうが高い。男性上司が相手なら10秒で済む報告も、女性上司を相手には30秒かけるくらいに考えておくといい。

もし、あなたの目の前の女性上司がプロセスを説明することに対し「余計な言い訳をしないで」と言うならば、そこは「男性上司と何から何まで一緒だ」と察して、切り替えるしかない。

▼特徴
・忙しそうだからとヘタに手伝おうとすると、「仕事をとられる」と勘違いし、「余計な配慮はしないで!」とキレることがある。
・男性上司とは違い、結果だけでなくプロセスも重視する。

▼対策
・余計な手出しはしないこと。もし、手伝う意思を示すときには、言葉遣いに注意。
・私生活に関する質問はNG。
・結果のいかんにかかわらず、プロセスを丁寧に説明すること。

本田有明
本田コンサルタント事務所代表。日本能率協会を経て人事教育コンサルタントとして独立。経営教育、能力開発の分野でコンサルティング、講演、執筆活動に従事。著書に『上司になってはいけない人たち』(PHP研究所)など。
 
(小澤啓司=構成 永井浩=撮影)
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