また、いずれも加齢によって萎縮しやすい筋肉。これらの筋肉が衰えると、脚を上げにくくなり、小さな段差につまずくなどして、転倒しやすくなります。それをスロージョギングによって鍛えれば、アンチエイジングにもつながるというわけです。ところがウォーキングでは、これら大きな筋肉はほとんど使いません。これまで、「毎日ウォーキングをしているけど、一向にメタボが改善しない」と感じられたのは、こんな理由があったからなのです。

また健康寿命を延ばすには、メタボ解消・筋力アップとともに、体力・持久力の源である最大酸素摂取量を高く維持することが重要。心臓にある程度の負荷をかける必要があります。しかしウォーキングでは、よほど体力の低い人つまり最大酸素摂取量の低い人でない限り、その負荷に達しません。

きつくないから継続できる

ウォーキングに比べジョギングなら、これまで挙げてきたスロージョギングのメリットをすべて実現できそうです。ただし、「きつい」と感じる人が多く、足、ヒザ、腰にかかる負担も大きい。それゆえ継続しにくいことが難点です。

70年前後から広まり始めたジョギングは、もともと時速6.4~10キロくらいで“ゆっくり”走ることと定義されていました。しかし、最大酸素摂取量つまり体力が低下した現代人にとって、このスピードはもはや“ゆっくり”ではなくなっているのです。

スロージョギングでは、時速4~5キロの歩く速度で走ります。このとき、歩幅を狭くし、足の指のつけ根で着地(フォアフット着地)することがポイントです。通常歩行では歩幅が70センチくらいですが、スロージョギングではそれよりずっと狭い10~40センチ。その場で足踏みしながらフォアフット着地の要領をつかみ、少しずつ前に出ていくような感覚で走り始めます。

歩幅が広いと、かかとから着地をすることになり、ヒザなどを痛めやすくなります。しかし歩幅を狭くしたフォアフット着地であれば、体重がやや重めの人でも安全に走れます。