「役立つストレス」というマインドセット

同じプレッシャーを受けるときに、ストレス反応によって実力が発揮できるレベルも変わってくるが、「ストレスは役に立つ」と気持ちを切り替えてうまく生かすことで、集中力や判断力を高めることができる。

たとえばスポーツ選手が本番のプレッシャーを感じる場でむしろいい成果をあげたり、音楽家がステージ本番でよりよい演奏をしたりすることがある。これが、ストレスをいい方向に転換したチャレンジ反応だ。ビジネスでは、むしろプレッシャーによって相手に伝えるべき情報と控えるべき情報を瞬時に判断する集中力が生まれ、効果的に伝えられることだってある。

たとえストレス下にあってもチャレンジ反応が起こっている時には、まるで運動をしている時のように血流量が最大となり、大きな力が出せるような体勢が整う。だから、ストレスがかかっていること自体をポジティブにとらえれば、むしろいい方向に働いてくれるわけだ。ところが、「ストレスは害になる」と思い込んでいると、体が物理的な危害を予期して、体中の血管が収縮していく「脅威反応」が起こりやすくなってしまう。

いよいよという場面でストレスやプレッシャーを感じたときは、こんな風に考えてみるといいかもしれない。

「いい具合に緊張している」
「だから、自分の思考は集中しており、まとまった考えで情報を取捨できる」
「つまり最大限の力が出せるはずだ」

そして、心の準備に生かせるのはこんなことだ。