2016年11月18日(金)

僕が20年間、鮨屋に通ってわかったこと

dancyu 2015年1月号

文・友清哲

初心者は、昼に老舗で「お決まり」を頼んでみよう

夜は値段表のない老舗でも、ランチタイムならお決まりが用意されていることもあります。そこで初心者はまず、昼時に「お決まり」をオーダーすることから始めてみましょう。

ネタの選択を店側に任せてしまえば、オーダーの作法でミスを犯すリスクもありません。何より、その店の味をリーズナブルに楽しめるメリットは大きいでしょう。

テーブル席がある鮨屋では、基本的にカウンターは「お好み」や「おまかせ」を楽しむ人の場所であり、「お決まり」をオーダーする人はテーブル席に座るのがセオリー。とはいえ店によって例外もありますから、入店したら開口一番、「決まりものはありますか?」と尋ねることをお薦めします。すぐに「こちらへどうぞ」と座るべき場所を指示してくれるはずです。

そうしてテーブル席に通されたとします。テーブル席は店内を俯瞰できる場所でもありますから、鮨が出てくるのを待つ間にさまざまな発見が得られるでしょう。掃除は行き届いているか。整理整頓されているか。細かな部分からも、その店の本質が窺えるものです。逆に、もしカウンターに案内されたら、店主と言葉を交わすチャンスが生まれるかもしれません。

鮨屋に慣れないうちは緊張してしまうものですが、ランチタイムを使って何軒か訪れるうちに、「居心地のいいお店だな」と感じる鮨屋に出会えたなら、このステップはクリア。その後も月に1回くらいは通うよう心がけましょう。繰り返し通うことで店のことを一層深く知ることができ、自分の中にいい店とはどんな店なのか、明確な基準が生まれます。これはこれから鮨の世界を探求していく上で、非常に大切なこと。

常連として認知してもらえれば、そのうちランチタイムでもこっそり裏メニューを出してくれるようなこともあるかもしれません。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

友清 哲