ロカボなら、タンパク質も脂質も食べていいのはなぜか?

糖質制限食に対する賛否両論の論争は、実はこれまでの栄養学に根がある。

長年にわたり、全世界的に、減量やメタボリックシンドローム予防にはカロリー制限がよい、つまり脂質を摂らないことが一番という考えが常識だった。これは栄養学でも医学の分野でも同様だ。

ところが、この数年で栄養学の見解が180度ガラリと変わったのだ。今はその転換期ともいえる時期で、古い知識がまだまかり通っているのが現状だ。

世界の最先端といえるアメリカの糖尿病学会では、2006年までは糖質制限食は危険な民間療法だとされ推奨しない見解だったが、その2年後には期間限定の条件で認め、さらに2013年にはついに期間の制限もなくなり、糖尿病の治療食として糖質制限食を認めた。この間には、有力な医学雑誌で糖質制限の効果を実証する数多くの論文が発表されている。

そして、脂質に関してはアメリカの食事ガイドラインで2015年から「脂質を控えても動脈硬化症のリスクは減らず、上限なく自由に食べたいだけ食べてよい」と明言するまでになっている。

これらをまとめると、要は現在の栄養学は、「健康のために控えるべきは糖質で、かつて悪とされていた脂質は摂ってよし」ということになったのである。

脂質と同じくエネルギー源となるタンパク質に関しても、かつては摂取量が多いと腎機能に悪影響を及ぼすといわれていたが、2015年には日本でも摂取の上限量がなくなった。つまり、タンパク質もたくさん摂って問題ないということだ。

糖質さえ控えれば、脂質やタンパク質は摂ってよい食事。それはまさにロカボそのもの。脂質やタンパク質は食べても血糖値を上げないので(血糖値を上げる栄養素は糖質のみ)、どんどん食べていい。脂質やタンパク質を摂取すると血液がドロドロになるといわれていたのはすでに過去の話、世界中の論文で脂質やタンパク質は摂って問題ないことがエビデンスとともに確証されているのである。