夫のスーツからキャバクラ譲の名刺

その日、主婦のまゆみさんは夫のスーツを持って、クリーニング店へ行った。

カウンターで店員がスーツをチェック。ここまではいつもどおり。

「ん? あれ、何か入っていますよ」そう言って出てきたのは……明らかにキャバ嬢の写真入りのキラキラ名刺。気まずい空気が流れる。

「大丈夫です、こんなことよくあることですから、オホホホ」と店員さんからの心にもない励ましを受ける。「くっそー」と小石を蹴りながら、まゆみさんは帰り道帰途についた。

『糟糠の妻はなぜ捨てられるのか』(大西明美著・プレジデント社刊)

後日、彼女から相談を受けることになった。

「どうしてうちの主人はキャバクラに行くのですか?」

彼女の言葉には怒りだけではなく悲しみと落胆が混じっていた。キャバクラは1時間何千円とお金がかかるし、無駄遣い。若い女性に目が行くなんて自分に魅力がなくなってしまったからではないか。彼女たちと不倫関係になったりしないか。不安でまゆみさんの心はいっぱいになっていた。

「まゆみさん、男性がキャバクラに行く理由は全部で3つなんです。認められたい、尊敬されたい、そして目の保養です。仕事の愚痴を聞いてもらって、『そんな大変ななかお仕事がんばっていてスゴイですね?』と認められたい。『うわー、すごーい!』とほめられたり尊敬されたい。しかも若くて綺麗な女性に言ってもらえば、男性だから励みになるのです」

「家で美味しいおつまみを買ってきて、勝負下着で誘惑してもダメなのかしら?」

うっ、ダメって言いにくい。でも現実はそんなことで解決はしない。

そもそも子どものほうが優先されて、旦那さんの存在感が薄くなっているご家庭が多い。旦那さんはそこに寂しさを感じ、「すごい」「尊敬する」とほめてくれる女性がいるキャバクラに行ってしまうのだ。

また、単純に若い女性と接するのが趣味の男性もいる。そういう男性の場合は、家庭をどうやったとしてもキャバクラ通いはやめないだろう。

「まゆみさん、実はキャバクラに行く男性って仕事を一生懸命やる男性より不倫しないのですよ」
「はっ?! どういうことですか」