2016年11月11日(金)

「赤ワインが苦手」って恥ずかしいことですか?

dancyu 2014年12月号

文・西澤千央

「赤ワインが苦手=かっこ悪い」と思ってしまうのはなぜ?

正直言って、赤ワインが嫌いです。かといって白を頼むとヘタレ扱い。赤を好きになる方法があるのか、開き直るべきなのか……。(31歳男性・デザイナー)

「赤ワインが苦手なら白ワインを飲めばいいじゃない?」。ワイン好きの皆さんは口を揃えてそうおっしゃる。わかります、わかっているんですが! 赤ワインが苦手と公言することを阻む謎の社会的圧力、こりゃ一体何なのでしょうか。

「白をお代わりしてたらヘタレ扱いされた」という声も編集部には実際に届いております。そもそも「赤ワインが苦手=かっこ悪い」と思ってしまうのはなぜ?

ワインジャーナリストの鹿取みゆきさん曰く「ワインは後天的な味覚とも言われています。つまり、経験を積み重ねることで、おいしいと思う味わいが変わってくる。その最たるものが渋み(タンニン)。赤ワインは白ワインよりこの渋みが多いんです」。つまり赤ワインが苦手→渋みが苦手→なぜならワインを飲み慣れていない初心者っぽい→恥ずかしい……という壮大な思い込みの連鎖が。「でも、本当においしいワインは誰が飲んでもおいしいものなんですけどね」と鹿取さん。初心者の正直な味覚にもっと胸を張ってもいいのかも。

さらにワイン好きたちが指摘するのは、“白ワイン&薄ウマ系赤ワインブーム”。代々木公園の大人気ワインバー「アヒルストア」の齊藤輝彦さんもこう言います。「うちの店でも人気があるのは白全般と、軽くても味わい深い“薄ウマ”の赤。最初は重め渋めの赤を好まれていたのに、今では少し冷やした軽めの赤しか飲まなくなった方もいます」。料理家の視点から「あっさりめの現代料理と和食に合うのはむしろ白」と言うのは関岡弘美さん。ワインライターの葉山孝太郎さんも「フルコースの最初から最後まで白(特に、泡)で通したら『おっ!? やるな』ですよ」。

極めつきは「コンラッド東京」ヘッドソムリエの森覚さんからの力強いひと言。「実は僕も赤ワインが苦手だったんです。ここだけの話、家で飲むときはもっぱら白」。数々のコンクールで輝かしい成績を残しているトップソムリエでもそうなんですね!! 「飲み慣れていない人ほど赤ワインにこだわる傾向はあるかもしれない」と齊藤さんからもワインコンプレックスを指摘する鋭いコメントをいただきました。そうなのです。実はワインを飲み慣れている人ほど「なんで赤ワインなの? 白おいしいよ!」というスタンスなのです。

「ワインの知識を得意げに話すような人は苦手。むしろ『コップで飲むような安ウマの白が好き』なんて人のほうが断然好感度高い!」とはワイン好きライターの馬田草織さん。“赤ワイン=渋い/かっこいい、白ワイン=甘い/ヘタレ”というイメージは、もはや前時代の遺物!

でもね――。ここで重めの赤が好きな人が、逆に引け目を感じてしまうなら、それも残念なこと。人の好みに口を出さず、自分も好きなものを飲めばいいのです。ワインは嗜好品なんですから!

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西澤 千央