“おもてなし”から生まれたトッピングサービス

ロッテリア マーケティング部 小島啓太氏

最後に、ロッテリアの最大の戦略が、意外にも“おもてなし”なのだという。以前から社外的にも“ひと手間がんばる、ロッテリア”をスローガンに、食材の手配やキッチンでの調理、サービスなどにおいて“ひと手間”を加え、おもてなしを提供してきた。また社内的には“Yes運動”として、お客からの要望にできるだけ応える姿勢を推進してきた経緯がある。例えば、「ハンバーガーにパティをもう1枚追加してくれないかな?」という相談があれば、もちろん有料ではあるが、メニューになくても対応するというようなことだ。

こうしたことから新メニューが開発されたこともある。また“Yes運動”から派生し、2015年11月からは正式にトッピングのメニューが採用された。つまり、お客の好みでカスタマイズができるわけだ。トッピングのなかでは半熟卵が一番人気だという。

さらに付け加えると、ロッテリアではサービスやメニュー開発などにおいて、「お客様相談センター」に寄せられる消費者の声を重んじているという。センター業務は社内で行っており、相談員として店舗従業員があたっているため、現場の状況把握やスピードにおいてきめ細やかな対応が可能としている。

上記のトッピング注文を含め、こうしたお客との“距離の近さ”が、ロッテリアの商品開発やサービス戦略の基盤となっているように感じる。


ロッテリアの最新メニュー(2016年10月)。クリックすると全体を表示。

グルメバーガーブームはむしろウェルカム

「グルメバーガーブームで海外のチェーンなども上陸しています。“黒船”などとも表現されていますが、むしろ我々は業界活性化の意味で喜ばしく感じています。といっても、業界全体を見て、高付加価値を求めるパイはそれほど大きくないと見ています。そのパイへの全面的な参入というのではなく、限定商品などで対応して行きたいと考えています」(小島氏)。

なお、グルメ化やインバウンド対応という意味では、銀座店、心斎橋店などの実験店舗において、高級食材の採用やアルコール提供といった試みを行っている。ロッテのグループ力をバックに、守備範囲を広げながら堅実な歩みを進めるロッテリアの姿勢が垣間見える。

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