2016年11月4日(金)

仙台はなぜ「牛タンの街」となったのか

dancyu 2015年3月号

文・マッキー牧本 撮影・茅原田哲郎

牛タンの街・仙台には専門店が延べ105軒

右も左も牛タンである。仙台駅に降り立つと、構内では、「牛タン通り」が待ち構え、街を歩けば、牛タンの看板に当たる。

仙台市には、延べ105軒の牛タン専門店があるという。人口比で換算すると、東京の13倍の軒数だ。

いったい、いつから仙台は、牛タンの街になったのか?

さらにもう一つ、謎がある。多くの店があるのに、牛タン定食の構成が、皆同じなのである。

牛タン、テールスープ、麦めし、青菜(せいさい)か白菜漬け、南蛮みそ漬けの組み合わせが、どの店も変わらない。宮城県人が保守的なのか、ほかに変えようがなかったのか。

(1)牛タン焼き/主役。炭火で焼き上げたタンの焦香が胸を打つ。脂の甘さ、色艶、圧倒的な滋味。包丁目も心憎い。(2)テールスープ/準主役。丹念な仕事が生んだ、母親のような優しい味わい。牛タンの凛々しさを最後まで持ち上げる。(3)麦めし/相棒役。牛タンの肉汁を受け止める。その素朴さとアルデンテな食感が、力強いタンと相性抜群。(4)青菜(せいさい)漬け/名脇役。タンの脂を切ったり、寄り添ったり、臨機応変に活躍。白菜浅漬けに替わることも多い。(5)南蛮みそ漬け/個性派脇役。初代の出身地山形県の特産品・唐辛子の漬物である。辛味で食欲を呼び覚ます。

この二つの謎に迫るため、われわれは牛タン焼き発祥の店、「味太助本店」に向かった。創業1948(昭和23)年。お話を伺った現当主・佐野健太郎氏は三代目である。

初代・佐野啓四郎氏は山形出身で、東京にて日本料理の修業後、戦後に仙台で焼き鳥屋を開いた。鶏だけでなく豚も焼いて、店は繁盛したが、後から同じような店が次々とできて、苦労したという。

ある日知り合いの肉屋から、タンが余っているので使ってくれないかと相談され、試しに焼き鳥の台で焼いてみたら、驚くほど旨い。これだ、この味だと、牛タン焼きの店を始める決意を固めたのだという。

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マッキー牧本