そうやって英語版『ブラックジャックによろしく』の全127話を読破して中村さんが気付いたのが、そこにある英単語の多さだった。

「1ページ当たり平均して50語の英単語が飛び交い、1話が平均20ページとして、1話で1000語の英単語に触れられます。しかも、全127話を読破すれば、12万7000語にもなり、ちょっとした英語の小説を凌駕してしまいます」

(上)死が近いことを告げる母親(下)そして、母親は「自分が死んでも決して悲しまないで」と語りかける/『Give My Regards to Black Jack』SHUHO SATOより

さらに、マンガによる理解の手助けもあって、1分当たり約100語のペースで読み進められるのもありがたい。10分で20ページある1話を読み切れる。これが小説になると、そうはいかない。1ページ当たりの英単語の数は約500で、同じペースで読むと、進むのはたったの2ページ。結果、話が中途半端に終わって、次第に読む気が失せていく。

「英語の勉強は継続が大切です。マンガには1話ごとに起承転結があって、読者を飽きさせることがありません。また、次回につなげる工夫もあって、長続きしやすいんです」

中村さんの場合、わからない単語があると、ネット検索で語源まで調べた。たとえば「Centipede」の語源は「cent(百)」と「pede(足)」で、意味は「ムカデ」だ。こうすると語彙力が飛躍的にアップするそうだ。

また、同時並行で『CNNリスニング・ライブラリー 世界のトップ経営者に聞く!』を何度も聞き、ネーティブの発音の仕方を独自に研究した。「機能語よりも内容語にアクセントを置くルールなどを身につけられました」と中村さんは言う。

結局、マンガの読破を始めてからなんと半年で、中村さんもTOEIC900点台をマークした。

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