上司を理解するうえで、覚えておきたいことが一つある。それは、“できる上司”として抜擢された人ほど、転落しやすいということだ。アメリカでは、この転落に陥る現象を“ディレールメント=脱線”といい、脱線した人は「ディレーラー」と呼ばれる。

かつて私の同僚にもなかなかの切れ者がいた。しかし、仕事はずっと順風満帆できたのに、責任と権限とが与えられると急に周囲との折り合いが悪くなり、衝突を繰り返すようになった。傍若無人な振る舞いも多くなり、そのうち職場は険悪な雰囲気に。本人は自分の思うようにならない状態に業を煮やし、やがて大きな問題を発生させ、自ら職場を去った。

こうした脱線する人のチェック項目を別表にまとめたので参考にしてほしい。自分の上司が全15項目のうち5つ以上あてはまるなら黄色信号が点灯する。

▼「ディレーラー=脱線する人」危険度チェックリスト

□自分とは異なる意見を人から言われるとすぐに腹が立つ。

□自分の間違いを指摘されても認める気にはならない。

□何か問題が起こると自分以外の人間に原因を求める。

□正しい解答が出せるのは自分以外にいないと思っている。

□いつも自分の思うとおりのやり方を部下に強制している。

□部下の言い分を聞く前に自分の意見を押しつけがちだ。

□任せた仕事を任せきれず部下に干渉することがよくある。

□ときにはその仕事を部下から奪い自分でやってしまう。

□約束を破っても自分は多忙なのだから仕方がないと思う。

□自分の仕事の大変さを周囲の者たちはもっと評価すべきだ。

□少しくらい職務規定にふれても自分は許されてよいと思う。

□小さなことに癇癪を起こし人を怒鳴りつけることが多い。

□日によって気分の浮き沈みが大きくなったという自覚がある。

□以前に比べ睡眠時間や食事など生活のサイクルが乱れてきた。

□部下が起こした失敗を思い出してイライラすることがある。

●該当するものが5つ以上あると黄色信号が点灯!
●半数以上該当すれば立派なディレーラー予備軍!


※本田有明著『上司になってはいけない人たち』をもとに編集部作成。