取材にご持参いただいた明細は、PCのプリントアウトや青々としたカーボン仕様。1枚1枚に刻まれた金額が、実に多くの事実を語りかけてくる。

 

短い間に、すごい浮き沈みを経験

今回、ご協力を仰いだ7人の方々は、時折不安を口にしつつも、冷静に自身の今を語っていた。

トヨタの給与明細

トヨタの給与明細

2008年9月のリーマン・ショック、アメリカでのリコール騒動等々、トヨタ自動車が受けた逆風はまだ記憶に新しい。同社工場に勤務する男性(29歳)は、

「リーマン直後はいったいどうなるのか皆目わからなくて、やはり不安が先に立った。週3日休みになった人もいたし、家を買ったばかりなのに月収が10万円も下がって、住宅ローンの支払いに困っている同僚もいます。社宅住まいのウチなんてまだいいほうですよ」

工場は2~3交代制。今は休日出勤が月2~3回程度あるという。朝は通勤時の車の中でおにぎりを頬張る。子ども2人が次々と生まれたために育児費がかさみ、最近やっと貯金を始めたばかりだ。男性の妻(30歳)は、

「月々の分は使い切って、ボーナスで貯めてます。子ども手当ても全額貯金です。不安だから、やっぱり使えませんよ。子どもはできれば公立に行ってほしい。大学に行かせるつもりはありませんが、高校の無償化はほんとに重要ですよね」

将来、夫が田舎の家業を継ぐことになっている。今は仕事のかたわら、資格の勉強をしているところだという。

新日鉄の給与明細

新日鉄の給与明細

「短い間に、すごい浮き沈みを経験しましたよ。高いローンを払って贅沢な家を買っちゃった人はヒイヒイ言ってた」

新日本製鉄勤務の男性(42歳)が苦笑するとおり、00年代前半以降の資源価格高騰で絶好調だった同社は、09年度に一気に連結最終赤字に転落。「一度に5カ月分、250万円貰っていたボーナスが半分以下に減った。ムードの良かった社内も今は喧々囂々」(同)。

ボーナスの明細は上司から手渡されるのが慣例だが、最近はその際に「みんな下がって大変」「悪く思わんでくれ」などと一言ずつ言われるという。

キヤノンの給料明細

キヤノンの給料明細

「(御手洗冨士夫)会長の一言で、社宅がなくなったんです。住宅補助費なんて出ませんよ」――キヤノン内勤の夫(27歳)と妻(27歳)。月7万円の賃貸住まいだが、新居の購入を思案中だ。現在の預貯金は約300万円程度。マンション購入の頭金1000万円を目指す。

「こんな不況なのに、職場ではみんな30歳くらいで家を買ってしまう。ウチもちょっと我慢して買おうかと思ってます。でも、完全撤退が決まったSED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)の研究施設近くに家を買った人は、家族を残して単身赴任したらしい」(同)

休日の外食を控える分は、旅行に回す。

「露天風呂のある会社の保養所なら、2人でも3万円程度ですみます。料理もおいしいし、カラオケも無料。でも、どうせなら基本給を上げてくれっ(笑)」