育児休暇制度や女性管理職の登用など、女性の活躍支援で他社より一歩も二歩も先を行くオリックスグループ。その根底にあるのが、多様な人材が多様な価値観を持ち寄って新たな価値を生み出すという共通した理念だった。

育児を理由に女性を辞めさせない

実はオリックスグループには、優秀な人材を確保するため、国の政策に先駆けて女性活躍推進に取り組んできた歴史がある。四年制大学の新卒女子を総合職として採用し始めたのは、男女雇用機会均等法が施行される4年前の82年。社内で出産・育児支援制度を導入したのは、育児・介護休業法施行の1年前の91年、といった具合だ。

リース事業だけでなく、水族館や球団の運営まで社員は幅広く関わる。

当然のことながら、一般の会社に比べればワーキングマザーや女性管理職の比率、育児休暇の取得率も高い水準にあったが、当初想定していた状況とはほど遠かったという。

「育児休暇をはじめ制度としてはかなり充実させてきたと思っていましたが、その一方で子どもを産んだ女性の離職率が意外に高かったのです」

そう語るのは、人事部人事チームでダイバーシティ推進担当をしている脇真由美氏。そこで、2007年に出産・育児支援制度の拡充を図り、脇氏のようなダイバーシティ推進の専任担当も配置した。課題として認識していたのは、前述した女性のロールモデルを増やすことと、縦・横・斜めなどさまざまな女性のネットワークをつなぐこと。

この問題意識に立って、育児休暇中の女性社員の職場復帰を支援する懇談会や女性主任を対象にしたキャリアビジョンを考える研修、女性課長対象のメンタリングなどを次々に実施。女性の活躍支援に積極的な他社に呼びかけて、異業種女性マネジャー勉強会も14年から行っている。