現在の日本と東京に一番足りないもの

同じ志をもっているのであれば、党派にこだわる必要はないはずです。たとえば10月23日に投開票が行われる衆議院議員の2カ所の補選では、私は東京10区では若狭勝さん、福岡6区では鳩山二郎さんを応援して、それぞれ演説にうかがいました。若狭さんは自民党の公認候補ですが、都知事選では自民党からの除名覚悟で私を応援してくれました。また鳩山さんは自民党の公認が得られず、無所属での立候補となっています。厳しい戦いであっても、理想を掲げて挑む人を、私は同志として応援していきたいと考えています。

これはビジネスの世界でも同じではないでしょうか。自分のやりたいことを実現するため、どのような手段をとるべきか。転職や起業という選択肢もあるでしょう。しかし、その前に現在の会社をどこまで活用できるのかを考えてもいいはずです。結果的には、そのほうがより早く人生の大目的に到達できるかもしれません。転職や起業は手段にすぎません。自分にとっての目的や課題は何か。それを掘り下げることが重要です。

もちろん、ときには1人で飛び込むこともあるでしょう。私がたった1人で都政に飛び込んだところ、様々な問題が一気に噴き出してきました。これはまるでギリシャ神話の「パンドラの箱」だと思いました。開けてはいけないというパンドラの箱を開いたところ、様々な災厄が飛び出してきたが、最後には「エルピス」が残った、という寓話です。エルピスとは「希望」や「予兆」という意味だといわれています。

私は政経塾を始めるにあたり、「現在の日本と東京に一番足りないものは何か」と考え、「希望の塾」という名前をつけました。日本と東京には数多くの課題がありますが、そこには希望も残されているはずです。これから具体的な形をお示ししていければと思います。「東京ビッグバン」にぜひご期待ください。

小池百合子(こいけ・ゆりこ)
1952年生まれ。カイロ大学文学部社会学科卒業。テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』などでキャスターとして活躍。92年政界に転身し、環境大臣、防衛大臣などを歴任。2016年、東京都知事に就任。
(構成=藤井あきら 撮影=原 貴彦)
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