モットーは「まあ、いっか」

中村さんのモットーは、「まあ、いっか」の気持ちで家事に臨むこと。

「普通の家事は流れを生み出しやすく、自分でデザインできるのですが、育児に関してはそれができません。家事の中に育児も含まれますが、2つは種類が違う。僕は育児を“イレギュラー家事”って呼んでるんですけど、予測ができないことが多い。家事って一生続くものなので、自分で息抜きをしていかないと、病気になったら代役はいません。『まあ、いっか』という気持ちで、例えば『今日は疲れたからコンビニ弁当』でもいいんです」

朝は電動アシスト自転車に娘2人を乗せ、長女を幼稚園に送り届ける。次女と昼食を食べると、続けて夕食の準備も済ませてしまう。「家事には流れがある」と言う中村さん。家族の生活スタイルに合わせて、家事を無理なくマネジメントしている。

家事を“デザイン”するという独特の言い回しは、「空間デザイナーが何をどこにどう配置するのかを考え試行錯誤するのと同じで、シュフもまた、24時間の間に何を配置するかデザインする人」という考えにもとづく。

「どうしても家事は『やらされてる』というイメージが強い。僕としては、シュフが『家族の生活をデザインする権利を持っている人』という前向きなイメージになればいいと思っています。出張があるからあの準備をしておこう、遠足のお弁当がいるから買い出ししておこう……こういう家事の一つ一つを積み重ねて、家族全体をコーディネートしていく。そんな調整役としての役割がうまくいったり、家族が楽しく過ごせていることを実感したとき、シュフの醍醐味(だいごみ)を感じます」

主夫に対する偏見を感じるのは、主に男性と接するとき。「高校時代の同級生と会ったりすると、『中村は主夫やってて偉いな』と言われるのですが、ピンときません。男だから偉いということなのですが、同じことをやっている奥さんにまず『偉い』『ありがとう』と言ってあげてほしいですね」

そんな男性たちにも家事や育児に参加してもらうには?

「男性って、ほんとに家事のことが何もわかってないんだと思います。男性が思うイクメンやカジメンが、奥さまの望むことと違ったりするので、まずはどういうところで手助けが必要なのか伝える努力が必要です」

▼主夫・弘和さんの24時間

5:00 起床、弁当作り&朝食作り
6:00 妻、娘2人が起きてくる、みんなで朝食
7:00 妻が出勤
8:00 長女を自転車で幼稚園へ、帰りに次女と一緒にスーパーで買い出し
9:00 帰宅、洗濯
10:00 次女の昼寝、連載や漫才の台本などデスクワーク、昼食準備
11:00 次女起きて昼食
12:00 掃除、次女と部屋で遊ぶ、夕飯準備
14:00 幼稚園に長女を迎えに行く
14:30 ママ友さんたちと公園で子どもを遊ばせる
16:00 帰宅、夕飯
17:00 娘2人を風呂に入れる
18:30 娘2人を寝かしつける、妻の帰宅を待ちつつデスクワーク
19:00 妻が帰宅 風呂へ、妻の夕飯準備
19:30 妻の夕飯、お互いの報告会
21:00 妻が就寝、夜遅くまで営業しているスーパーへ買い出し
22:00 洗濯物を畳む、デスクワーク、良きところで就寝

水朝子=撮影