──国内では人口減少と少子高齢化が進んでいるが、今後の業界展望は。

【根岸】国内生保マーケットは、今後20年は成長し続けると考えている。成長領域は4つある。

1つ目は、就業人口がこの3年で75万人増え、保険料負担能力が高まっている女性。2つ目は高齢者。これまでは健康面に問題があると新規契約は難しかったが、状態をコントロールできていれば引き受けができる商品も増えつつある。また、相続税対策でのニーズも高い。3つ目は医療や介護などこれまでなかった第3分野。社会保障を補完する意味で、今後さらに成長する領域といえる。そして4つ目は投資型保険だ。「貯蓄から投資へ」という国の政策がある。保険会社では従来、利回りを保証した商品が主流だったが、今後は外貨建て保険など、お客様がリスクの一部を負担するような保険分野も成長するだろう。今、生保業界には多様な競合が参入してきているが、このこと自体が、業界が成長市場であることの証しといえる。

──海外生保のM&Aも活発だが。

【根岸】明治安田生命の場合、新興国に対しては今から種まきを始めて、徐々に成長させていきたい。同時に、20年後も確実な成長が期待できる米国でも事業を拡大し、20年後以降の成長軌道をつくり上げていく考えだ。

生命保険協会会長 根岸秋男
1958年、埼玉県生まれ。81年早稲田大学理工学部卒業後、明治生命(現明治安田生命)入社。滋賀支社長、企画部長、営業企画部長、執行役、常務執行役などを経て2013年7月より取締役代表執行役社長。16年7月、生命保険協会会長に就任。
(増田忠英=構成 市来朋久=撮影)
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