「いつも自分は損ばかりしている気がする」そんな人は、ここに挙げるような行動をしている自覚はないだろうか?

レジ前に置いてあるガムや饅頭をつい買ってしまう

行動経済学の代表的な理論に、ノーベル経済学賞を受賞した「プロスペクト理論」があります。このなかに「参照点」(損かどうかは絶対値ではなく、相対的な感覚で決まる)という考え方があります。

たとえば、スーパーで3000円分の買い物をしてレジへ並んでいるとき、レジ横の棚にのど飴を発見。「ちょっとのどがイガイガするから、買っておこうかな」とカゴにポイ。さらに「単三電池も」とカゴにポイ……。

さっきまで一円単位まで気にして野菜を選んでいたはずなのに、なぜレジ前では簡単に買ってしまうのでしょうか? これはすでに買い物をした3000円が参照点となり、「100円くらいプラスしても大した違いはない」と感じてしまうから。この「参照点からの変化」を狙って店側は、レジ横に抵抗なくカゴに入れられる小さくて安い商品――飴、ガム、饅頭、電池などを並べているのです。

「参照点からの変化」は様々な場面で顧客の財布のひもを緩めるのに用いられています。たとえば結婚式。すでにかなりの費用が掛かっているにもかかわらず、「一生に一度のことだから」と数万円のオプションサービスを付けてしまいがち。家を新築するときも要注意。施工価格の3000万円が参照点となり「ドアを木目調のものにしませんか。プラス3万円でできますよ」と勧められ、「3万くらいなら」と簡単にYESと言ってしまう。この危険な金銭感覚のズレには要注意です。

大江英樹
1952年、大阪府生まれ。野村証券で個人資産運用、企業年金制度のコンサルティングなどを手掛ける。2012年、オフィス・リベルタスを設立。行動経済学の研究からその問題点や解決法に切り込む講演・セミナーが人気を博している。『その損の9割は避けられる』『老後貧乏は避けられる』など著書多数。