2分間、2日、2年間、あなたはできるか?

――初心者でも始められるコツとはなんでしょう。

2分間でこのメソッドの価値を体験できます。まず紙とペンを用意し、自分の頭に浮かぶ気になることを10個書き出してください。次に起こすべき行動とは何かを書いてみます。それだけで物事を自分でコントロールできているという感覚が芽生え、今、優先すべき大事なことに集中できるなと思うでしょう。浮かんでくるのに行動できないというギャップも当然あります。それを把握して、しっかりと見極めて分類する。これはここに入れておこうという場所を決めることで、頭に浮かんだもやもやとしたものが必ず整理されるはずです。GTDの一連のやり方を自分で理解し、実践するには2日ぐらいかかります。さらに自分に囁いてくる何かをコントロールし、整理してアイデアを生かしていく意識的な努力をすることができるまで習慣化できるようになるには2年ぐらいかかります。もちろん途中で挫折する人もいますが、再び気になることを10個書いて、次のアクションに踏み出すことで習得する人もいます。

――アメリカでの人気は高いということですが、どういう人たちがGTDを学んでいるのですか?

2001年に最初の本を出したときは企業の中堅以上の役職者やエグゼクティブクラスの関心が高かったのです。上のポストに行く人ほど要求されるタスクもより複雑になり、解決しなければならない新しい課題が発生します。それをコントロールし、仕事の幅を広げるためにGTDを活用しようという人が多かったのです。その人たちの中には別の会社のより高いポジションに就いて活躍している人もいれば、起業して成功を収めている人もいます。今ではGTDを学ぶ人の裾野はもっと広がっています。把握する、見極めるというGTDの5つのステップを踏むことはすべての人に共通ですが、それを適用し、自分のやり方で実用化していくのはそれぞれです。たとえば12歳の子どもに教えても、見極めて次にとるべき行動というのはそれほど複雑なものではありません。GTDは限られた仕事の範囲でも応用できますし、あるいは自分の責任の範囲を超え、今の世界をもっと広げたいという場合など自分に合わせることができるのが強みです。

――たとえば有名人ではどういう人がいますか。

映画「アベンジャーズ」を制作した著名な映画監督のジョス・ウェドンはGTDを学習してから次の企画が生まれるようになったと言っている。アメリカの超人気ラジオ番組のパーソナリティとして有名なハワード・スターンはGTDによって人生が変わったと言っている。多忙な彼は時間にも余裕ができて大好きな絵が描けるようになったと言っています。時間そのものではなく、脳の中に余裕のスペースができたおかげで芸術にいそしむことができたということです。脳のスペースをつくるお手伝いをするのがGTDであり、そのスペースをもっとクリエイティブなことに使う人もいれば、子どもとフットポールを楽しみたい、あるいは仕事の戦略を考えるために使う人など様々です。