充電中の「熱」はバッテリーの寿命を縮める

なお、発火に至る事故にならなくとも、充電時の発熱は、バッテリー劣化の大きな原因になる。スマートフォンやノートPCを長く使うと、バッテリーの最大充電容量が減ったように感じる場合があるが、これは典型的なバッテリーの劣化に伴う現象だ。

現在、多くのバッテリーは、一気に100%には充電せず、8割ないしは9割まで充電すると、あとはゆっくり100%に近づけていく仕組みになっている。理由は、過充電の防止に加え、急速な発電に伴う発熱を防止する、という意味合いがある。「スマホに電源をつないだまま使うのは良くない」と言われるのはこのためである。熱や不要な繰り返しの充電に伴う負荷が劣化を進めることは間違いないので、特にモバイルバッテリーなどは、充電が終わっているのであれば、使わなくとも、電源からは外しておくのが望ましい。

ちなみに、ノートPCの場合には、バッテリーをあえて「8割から9割の充電で抑える」ことで、バッテリーの劣化を防ぎ、より長くその製品が使えるようにする、という機能を用意している製品も多い。ノートPCの場合、バッテリーでの連続動作時間が十分長くなってきて、満充電でなくても問題ないシーンが増えたこと、オフィスや自宅内など、電源が使える場所で使うことも多いため、こうした機能が用意されている。

バッテリーの寿命を長持ちさせる技術


クアルコムの「Quick Charge」は急速充電の有名な規格の1つ。最新のQuick Charge 3.0では、35分でバッテリーの80%まで充電でき、残りはゆっくりと充電していく。

またソニーモバイルは、今秋より発売するフラッグシップ・スマートフォン「Xperia XZ」に「Battery Care」という機能を搭載する。これは、就寝時間・起床時間などを学習し、「起きる時にあわせて充電が100%になる」ようにあえて充電速度をゆっくり自動調整することで、バッテリーの劣化を抑えるものだ。

我々はなんとなく不安になって、スマホのバッテリーを「できるだけ100%にしよう」と考えがちである。だが最近は、満充電にするには時間がかかるが、その手前までは急速充電できる、という機種が増えている。Qualcomm(クアルコム)社の開発した「Quick Charge」は、そのうちもっとも有名な規格の一つ。スマートフォン側と充電器側が両方対応していれば、容量の80%程度までは、充電時間が2倍もしくは4倍速くなる(対応する世代により充電時間は変化)。iPhoneはカタログには謳っていないものの、純正充電器やMacとつないだ場合などは、同様に容量の80%程度までは急速充電を行う。

だから、バッテリーを良い状態で使いたいと思うのであれば、帰宅後などをのぞいて無理に100%を目指そうとせず、「ある一定よりも減ったらこまめに、短時間でも充電して、容量を戻す」「6~7割程度残っているなら気にせずそのまま使う」ような使い方が望ましい。

「バッテリーに異常な熱は禁物」。これだけは覚えておいてほしい。

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