「ワークフェア」とは、work(労働)とwelfare(福祉)を組み合わせた言葉だ。ただ、使われ方は2種類ある。

区役所に集団で生活保護申請に訪れた人々とボランティア。
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区役所に集団で生活保護申請に訪れた人々とボランティア。

まずは福祉を受ける条件として労働を義務づけるというのが一つ。生活保護の受給者に対して、公共事業などで仕事をする義務を課すものだ。この考え方は米・ニクソン政権時に公民権運動によって白人以外への福祉が急拡大し、財政が維持できなくなった時期に登場した。働けば収入が増加するため、就労インセンティブが働き、次の仕事につながるのが長所だ。

もう一つの「ワークフェア」とは、「仕事で生きがいを感じる」ためのものだ。つまり、就労こそが最大の福祉である、という考え方であり、具体的には職業訓練に注力する政策で、スウェーデンなど北欧で行われている。職業訓練などで知識労働者を多く生み出すことに注力した結果、スウェーデンの1人あたりGDPはトップクラスになった。

しかし1980年代には機能した職業訓練を行う就労支援も、90年代に失業率が上がり、「とにかく仕事がほしい」という状況に。今では職業訓練ではなく職業紹介が中心になってしまった。また、職業訓練も従来行ってきた半年程度ではあまり効果がないため、長期化させているようだ。

日本総研主席研究員・山田久氏は「就労倫理がきっちりしている国であればワークフェアは機能する。ただし、ワークフェアと生活保護を総合的に設計することが必要」と話す。生活保護は「働くと損をする」という“貧困のワナ”を引き起こす場合があるからだ。