中小型店の全国展開で大きなビジネスチャンス

――中小型店とはどのくらいのスケール感になりますか。

私どもはこれまで標準店舗は1万平方メートルを基本に考えてきたのですが、今後は3000~7000平方メートルを新たな標準店舗と考えています。この規模は今までの当社としては中型店にあたりますが、一般の家具専門店としては大型店です。このたび千葉に出したお店が約4600平方メートルなのですが、 個々の品揃えやオペレーションのやり方が新しい店舗のプロトタイプになっていくと思います。小型店については数百平方メートルから2000平方メートルあたりを考えていて、具体的にはサッポロファクトリーに出している438平方メートルのお店が出店7カ月で黒字化していますから、1つのモデルケースになるのではないでしょうか。

すでに地方の百貨店などからも引き合いが来ていますから、数百から1000平方メートルのお店がきちんとモデルとして確立すると、地方の都市への出店余地が広がっていくと思います。現在店舗は18店舗あります。 大阪や有明などの超大型店はプロ向けのショールームとしても重要ですから残しますが、スタンダードのお店の規模を少し縮小するという考え方です。その分出店余地が増えますから、場合によっては1つの都市でも2つ、3つ出すということができるので、おおむね中型店としては20店舗ぐらいがメドだと思っています。10店舗が既存店のスクラップ&ビルド、10店舗が新規出店という形になると思います。小型店は地方の百貨店様などとの提携店として考えているのは全国の県庁所在地すべて、大都市圏は大型店がありますから、これを除くと30店舗ぐらいです。これは大塚家具の名前は知っていても買う場がないという地方の方もいらっしゃると思いますので、大きなビジネスチャンスになると考えています。

――中型店の品揃えについてはどう考えていますか。

一般的には当社でもっとも売れている人気商品がありますから、それを核にしてその周辺のものをそろえていく、つまり、既存店の売上高の6、7割を占める商品を核にしていくと、中型店でも十分お客様の求められるものが用意できると思います。

――中型店での社員の働き方はどう変わるのでしょうか。

対面販売というのは人から商品を買っているわけです。ですからお客様から見れば、社員が生き生き仕事をしているかどうかは非常に重要なことです。大型のお店というのは組織も大きくなりますし、1人ひとりの社員が自分のお店の中での貢献を感じ取ることが難しくなるんです。しかし中小型店というのは、学校でいえば1クラスくらいの人数で、マネジメントができるわけです。そうすると、組織としてのまとまりも、1人ひとりの貢献も目に見えるようになります。4000平方メートルをワンフロアー50人ぐらいで運営すると、誰が何をしているのか感じることができるようになると思います。そうなると、今まで営業だけやっていました、受付だけやっていましたという人が、いろいろなことをやるようになる。すると、自分たちがどういう価値を生んでいるのか、どういう貢献ができているのか、どんな協力ができているのか、より感じることができるようになると思います。そこは現場の活力という意味では変わってくると思います。組織の活性化という観点からも、小さい単位で組織をつくっていくということを重視したいと思っています。

――通期でも売上高483億円、前期比約17%の減収で、約39億円の営業赤字になる見通しとなっていると思いますが、リストラについては。

2009年についてもそうだったのですが、店舗政策を進めていくと家賃は下がっていきます。リストラをするというよりも、店舗再編の中で家賃比率が下がっていきます。私たちはこれから戦艦で戦っていくのか、駆逐艦で戦っていくのかといえば、戦艦より機動性のある駆逐艦で戦っていく。無駄なフロアーであるなら家賃を払う必要はないという考え方なのです。それで自動的に家賃が減っていく、その分で出店ができる。提携店の場合は自分たちで店を持たなくてもいいわけです。今度、広島に出すお店は提携店で、店舗設備はパートナーが用意するので、固定費はかからないのです。いろいろなやり方で床に無駄なお金はかけないという発想です。

――全体的に規模を縮小するわけですから人が余ると思いますが、人のリストラについては。

千葉の出店では実は新規採用をしていません。定例の採用の中で、既存店の経営を効率化し、直間比率をあげて、間接人員を減らして数十人の人員を千葉の店舗に回しています。来年には収益はトントン、再来年以降は黒字化が見込まれます。