新しいオペレーションに慣れるのに遅れた

――2016年12月期の中間決算で約20億円の営業赤字になりましたが、その原因は。
大塚久美子・大塚家具社長

いくつか原因があると思うのですが、1つは新しいオペレーションに慣れるのに遅れたということです。それから私どもの売り上げの中には住宅メーカーなどマンションデベロッパーさんとの提携でご送客いただいている部分もあるのですが、一昨年に経営体制が変わったときに、独自集客していこうということになって、一時休止していたのです。そのため13年度には100億円近くあった売り上げが、大きく落ちている。ただこれは一過性の問題なので、取引を再開していけば戻ってくると思います。

むしろ問題なのは構造的な問題です。消費税が上がった14年後半も赤字で、われわれの旧モデルの収益力は高いものではないことが自明でした。15年は営業施策で売り上げを伸ばし、なんとか黒字化しましたが基本的には14年以降こうした構造は変わってはいません。だから今年は基本的な収益力の改善をしていくことが重要なのだと考えています。昨年から今年にかけては第1フェーズとして、会員制を見直しオープン化を行い、そして第2フェーズとしては店舗のあり方そのものを見直していきます。

――オープン化したことで大塚家具の魅力が薄れてしまったのではないかという見方もあります。

そういう見方があること自体、売り上げが厳しくなっていることのもう1つの大きな理由ではないかと思っています。オープン化するということが従来の私たちの価値を捨てることだと解釈された方が非常に多かった。特にメディアの方にそうした誤解が多かったようです。誤解された見方で報道されれば、それが消費者に広まってしまいます。しかし実際はそうではないのです。入り口をオープンにすることと、店舗内でのサービスを止めることとは全く別の話で、自由に見たい方は自由にご覧になれますし、コンサルティングサービスを受けたいという方にはそうした対応をさせていただいています。臨機応変に対応するが一番の顧客サービスだと考えています。ただ社員の立場からすると、臨機応変というのは意外に難しい。なかなか慣れないということはあるかもしれませんが、私としては、それをやっていくことがお客様にプラスになるのであれば、追求するのが正しいと思っています。

――社員の接客のスタイルを変えていくことが社員の負担になって、お客とのコミュニケーションがとれなくなっているのではないですか。

それは承知のうえでやっていることです。今までの慣れたやり方では、それを望むお客様は限られています。同じ1人のお客様でも場面場面でお求めになることは違うと思うのです。 大塚家具は1人のお客様と一生お付き合いをしていきたいと考えています。どんな場面であっても家具インテリアに関連するときには私たちに相談してください、といってきています。大きな買い物のときは便利だけど、小さい買い物は遠くて不便では継続的な利用をしていただけない。両方の対応が必要だと思います。社員も大変でしょうが、それを乗り越えて両方できるようになることが重要だと思っています。

――今後は大塚家具をどのようなお店にしていくつもりですか。

新しい大塚家具をつくっていくための店のあり方としては、中小型店をより充実させるということです。それにともなって人の動き方も大型店を前提とした人の動き方ではなく、中小型店を前提に1人の人が何でもできるような働き方を身に付けてほしいのです。これを今年から来年にかけて進めていきたいと思っています。