「世紀の転換点」に正しい決断をすべき

現在、世界は世紀の転換点に立っています。そのときに選択を間違えないことが大切です。19世紀的世界から20世紀的世界の転換における最後の局面において、日本は三国同盟を結び、アメリカとイギリスを敵にしましたが、これは大変な間違いでした。

21世紀、国際社会の主役は依然として主権国家ではありますが、核は拡散し、国際テロ組織が登場するなど、安全を守るためのルールは米ソ二極時代よりも複雑化しています。また、陸・海・空に加えて宇宙とサイバーという領域が安全保障の最前線となり、国境を越えた協力が不可欠です。国際社会の主舞台が米国やヨーロッパという大西洋から、日米対中国という太平洋の時代にシフトした状況のなかで、日本が日米同盟を強化し、TPPで太平洋の経済連携を強化しようとしていることは正しい方向だと思います。

世界が供給過剰で経済的に苦しい状況となるなか、アメリカと確固たる同盟を結び、抑止力をきちんと働かせたうえで、経済基盤としてのTPPを成功させれば、日本は苦しいながらもベストなポジションにいることができ、21世紀後半に向けての跳躍力を蓄えることができるはずです。鉄道面で言えば、日本とアメリカにおける超電導リニアシステムの導入が21世紀の豊かさとその基盤である強固な日米提携につながると考えています。こうした路線がうまくいけば、日本の21世紀は、明るい展望を持って迎えられることでしょう。

(談)

(山田清機=構成 永井 浩=撮影)
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