さらに今季、下部育成チーム「TGI Dライズ」を発足させ、日本リーグ2部に参入させた。いわばプロ野球みたいな1、2軍方式で、日本では初の試みである。TGIは栃木、群馬、茨城の頭文字。年間運営費が約3000万円。選手はバスケスクールで週2回の講師を務めることになっている。

「選手の発掘、切磋琢磨のためです。また栃木県の南部を本拠とし、群馬、茨城にも出張っていく。北関東に商圏を広げていくという発想なんです」

バスケット界は激動期を迎える。日本リーグとbjリーグからチームを募り、13年を目標に新リーグの設立を目指すことになっている。市場形態も変わる。「チームを持つ会社が、プロの球団としてちゃんと収益をあげて運営する形は外せない」と山谷は言う。

リンク栃木の中期的なビジョンが「BREX NEXT 5」である。今後5年間で達成すべき目標として、(1)新トッププロリーグ(13年スタート予定)の初代王者、(2)日本人NBA選手輩出、(3)年間売り上げ6億円、(4)平均観客動員3000人、(5)地域密着活動累計1000回達成、の5つを掲げる。

モットーは「すべては心の持ち方次第」。夢は?と聞けば、目が別もののような光を帯びた。

「チームとしてきちんとその地域に定着して、強くて、収益的に安定できるチームをつくること。スポーツを見る価値をもっともっと高めたい。でも究極の夢としてスポーツの現場の監督をしたい。アメフトの弱小チームのヘッドコーチなどいいですねえ」

目下、リンク栃木は連覇をかけたシーズンを戦っている。「もう一度、ゼロからのスタート」と言い切る。古い体質のバスケ界を変えるためには、勝ち続けないといけない。

「新しいことをやるうえでの一番の証明力は勝つことです。今年最下位だと説得力がなくなってしまいます」

延々2時間。濃密なインタビューが終わる。応接スペースの隣を通り、営業の若手スタッフが事務所から出ていく。山谷が笑顔で大声を飛ばす。

「いってらっしゃ~い」

いざ上質のスポーツ・エンターテインメントの確立へ。リンク栃木の挑戦が続く。(文中敬称略)