自分より年収の高いエリアに住む人は自殺率が高い

他人との相対的所得の比較を自制心でやめればいい?

これを自分の内心の湧き上がる感情を無視して無理して継続することは、文字通り死ぬほど精神的な負担がきます。

これを裏付けるデータについてご紹介します。

サンフランシスコ連邦準備銀行の調査によれば、同じ収入を稼いでいる2人がいるとして、周囲の人が自分より年収の高い地域に住む人は、周囲の人が自分より年収の低い地域に住む人に比べて4.5%も自殺しやすい傾向にあるといいます。(http://www.huffingtonpost.com/2012/11/09/suicide-rate-rich-neighborhoods_n_2102777.html

高収入の隣人ばかりが住むエリアに無理をして住みたいという人は自ら自殺率を4.5%も引き上げることになるのです。つまり、不幸な環境に身を置くことで幸福の追求を自ら放棄していることになるのかもしれません。

人はなぜ資産形成をするか?

それは究極のところ、幸福の追求のためです。しかし、富裕層になるための種銭(投資に回すためのまとまった貯蓄)を作る期間の幸福を犠牲にするのなら、それは本末転倒ではないでしょうか。富裕層になることも大事かもしれないけれど、富裕層になる過程が幸福感に満ちていないと意味がありません。

それならば、自分より貧しい人に囲まれて生活すれば、どんどん豊かになる(お金が貯まる)の法則を活用して低収入の街でストレスなく生活をダウングレードする方法で種銭を貯めるほうが精神衛生上いいということです。

正直、この原稿を書きながら、ふと僕も自分自身のことについて考えさせられました。

いま僕は東京・港区のある街に住んでいます。一般人からしたらトップブランドのエリアですが、せいぜい数千万円ほどの年収の人が大半です(編注:著者の年収は約7億円)。なので、子供達もママ友もそんなに肩が凝らない交流をしており、エリアにおいての最上位階層に我が家はおかれ、主観的幸福度は最高です。

実は、渋谷駅近くにもう一軒家があります。これは、住人が宗教法人のオーナーだったり、首相経験者だったり、超有名漫画家だったり、そこかしこにポリスボックスがあるような豪邸街です。簡単にいうと、普通ではない人が普通ではない暮らしをしています。

渋谷区の家を建て替えて引っ越すことを予定していたのですが、ここに子供が住むことが子供にとっての人間関係の阻害になり、主観的幸福を低下させるのではないかと考えています。

前出のロバート・フランクは『ザ・ニューリッチ アメリカ新富裕層の知られざる実態』において、富裕層どうしの激しい顕示的消費の競争、富裕層間の富の格差で最上位の富裕層以外の誰もが不幸になっていく姿、そして子供に与える深刻な副作用を描いています。

もしかしたら、僕も人類の一員として社会的比較に巻き込まれようとしているのではないか。今回のテーマにはつくづく考えさせられました。

*筆者・金森重樹氏にお金に関する悩み相談をしたい方は、下記URLのフォームにご記入ください。
*受け付けた質問の一部に関して、金森氏が記事内で回答する場合があります。なお、金森氏より質問者に連絡することは一切ございませんし、営業目的に利用することもございません(記入フォームにアドレスなど連絡先の書き込み欄はありません)。
https://docs.google.com/forms/d/1QL5Ik3u31anl6QRjpkUdgZw7NqKS4EpmVd3cIUVz82s/viewform

【関連記事】
車、家、ペット「想定外の維持費」が高収入家計をぶち壊す
なぜ、高収入の人ほど「もう少し収入が高かったら……」と嘆くのか?
「コップの水」を飲む人は、富裕層になれない
高収入シングルマザー「カネより思い出」
「なぜかお金に恵まれる人」の秘密