景気は野球型からサッカー型に

――投資におけるリスクを抑えるには、さまざまな資産をポートフォリオに組み入れて、分散投資をするのが有効だといわれますが、実践する際にはどのようなことがポイントになりますか。

【佐藤】マイホームの頭金を準備したいとか、老後資金を蓄えたいとか、投資には目的があるはずです。その目的によってお金を色分けして運用することを私は勧めています。私たちは昔から「子どもの将来のために」とか「家族旅行のために」とか、目的別に貯金をしてきたはずです。その貯金を“投資”に置き換えて考えてみるのです。

目的がはっきりすると、必要な時期や必要な金額が明確になります。それに応じて、リスクも勘案しながら金融商品を選択していきます。例えば、いざというときに必要な資金であれば、いつでも引き出せる預貯金がいいでしょうし、万が一のときの家族の生活費であれば、保険や金などの現物資産は向いています。老後の資金を準備するのであれば、投資信託や不動産投資が向いているかもしれません。このように、目的をはっきりさせて、その実現に最適な商品を選ぶことで自然と分散投資が実現できます。

そのときに注意しなければいけないのは、景気の流れです。かつては、景気の良いときと悪いときが比較的分かりやすい形で順番にやってきましたので、一度チャンスを逃しても、また次のチャンスがやってきました。スポーツにたとえるなら攻めと守りが交互にやってくる野球型といえます。しかし現在は、いつチャンスがやってくるか分かりません。守りから急に攻めに転じなければならないこともあります。いってみればサッカー型に変化しているのです。景気の流れの変化に敏感に対応し、資産の組み替えもその時々で検討すべきでしょう。

――投資の際、パートナーとなる事業者をどのように見極めたらいいでしょうか。

【佐藤】最終的に決断するのは、投資をする人自身です。その決断のために必要な情報を適切なタイミングで提供してくれるかどうかが、パートナー選びのポイントとなるでしょう。

繰り返しになりますが、投資に絶対はありません。利益が出るか、損失を被るかは、いわば確率論です。確率を上げる一つの方法は、「分子を増やす」こと。つまり、数多くの経験を積んでいくことです。専門の知識や情報でそれを支えてくれるのがいいパートナーの条件だと思います。