――今後、取り組みたいことは?

【助野】3つある。1つ目は医薬品、再生医療分野の事業拡大。医薬品では、血液がんなどの抗がん剤やアルツハイマー病治療薬の開発、再生医療ではiPS細胞を用いた創薬支援や細胞治療などを推進している。これらを早く花咲かせるために、M&Aが必要ならばやる。

2つ目は経営のさらなる効率化。売上高に対するSG&A(販売管理費)や、研究費の比率はまだ下げることができる。ただ闇雲に減らすのではなく、投資対効果を見ながら、研究テーマも見直したい。

3つ目は海外展開の強化。今、富士フイルムHDの海外売上高比率は6割だが、世界のGDPに占める日本のGDPは6%程度ということを考えれば、海外売り上げが8~9割あってもおかしくない。地域では東南アジアからアフリカ、分野ではヘルスケアが伸びると思っている。

富士フイルムHD社長兼COO 助野健児
1954年、兵庫県生まれ。77年、京都大学法学部卒業後、富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)入社。米国法人のCFOなどを経て、13年取締役経営企画部長。16年6月社長兼COO就任。

出身高校:大阪府立北野高校
長く在籍した部門:経理・財務部門
座右の書(または最近読んだ本):『峠』司馬遼太郎
座右の銘:大事は大胆に、小事は細心に
趣味:クラシック音楽鑑賞

(嶺 竜一=構成 高橋健太郎=撮影)
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